記憶 ページ5
『今のって……』
私がそう呟くと、ななもりさんは”桜子ちゃんも覚えてる?”と嬉しそうに口元を緩ませた。
ななもり「俺のお守り言葉。だいぶ昔に言われたやつだけど、今でもずっと大事にしてるんだ」
そう言って、ななもりさんは照れくさそうに笑った。
私は”へぇ〜”と頷きながら、自分の中に浮かんでいた疑問を口にした。
『___今のって、祖父から言われた言葉ですかね?』
ななもり「……え?」
『そういえば私も言われてたかなぁって感じの記憶はあるんですけど、どうにも確証が持てなくて』
言われた気はするんだけど、いつ言われたかは思い出せないんだよね。
私がそう説明すると、ななもりさんは明らかに動揺した表情を見せた。
何でこんなに驚いてるんだろう……。私、何か変なことでも言ったのかな?
ななもりさんは「これは」と口を開きかけ、そのまま黙り込んでしまった。
『あの……大丈夫ですか?』
ななもり「あ、あぁ。ごめんね。大丈夫」
大丈夫そうな雰囲気ではなかったけど、初対面+相手が年上ということもあり、中々切り込みづらかった。
しばらく考え込んだあと、ななもりさんは「とりあえず」と言って私の目を見た。
ななもり「ー−−この話は、一旦保留にしよう」
そう言って、ななもりさんは私の親戚がいる方向に視線を流した。
……あぁ、そういうことか。
親戚たちは私のことをよく思っていない。
そんな人間がホストとかいう話をしてたら、余計に変な目で見られるだろう。
私は無言で頷き、無表情で棺に花を添えている親戚たちと一緒に、私も一本の生花をおじぃの近くに置いた。
___数時間後。
少し日が落ちて辺りが暗くなり始めた頃、お葬式が終わったので私はこれからお世話になる家に向かっていた。
隣にはななもりさんがいて、家までの道案内をしてもらっている。
しかも、サラッとホストクラブのオーナーの勧誘をしてきてる。
ななもり「絶対世界変わるからさ、まずはやってみてよ」
『やっても変わりませんし、勧誘の仕方がどんどん怪しくなっていくのやめてもらっていいですか』
完全にクスリを勧めてくる人の誘い方だったよ、この人。
冷ややかな視線を送っていると、ななもりさんがゆっくりと立ち止まって、数メートル先の家を指さした。
ななもり「……あそこが、
ー−−どうやら、私たちが向かっていたお家に着いたみたいだ。
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雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます!名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、!素敵な作品ですね!!一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、! (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねw いつも読んでくださり本当にありがとうございます! (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし,普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ!全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨萩さくり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年10月18日 7時