JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

階段 ページ38

まひとさん曰く、最近ではお客さん達からに大好評だからという理由で、
過度にならない範囲のグラビア撮影も始めたらしい。
もはやホストクラブの域を超えているのではって思ったけど、口には出さないでおいた。
５分程度でお二人の着替えが終わったので、私たちはサッと更衣室を出て裏口へ向かった。









ハラハラしながら足を進めていたけど、案外バレてはいなさそうだった。
安堵しながら出口へ繋がるドアを押すと、外は真っ暗で一瞬前が見えなかった。
思わず”こんなに暗いの！？”ってビックリしたけど、
よく考えたら裏口はそこまで多くの街頭は付いていないということを思い出した。
後ろでカチッという音が鳴ると、扉の真横にある電灯がピカッと光った。









辺りが照らされ周りが見えるようになると、自分の足元の近くに階段があるのが見えた。
階段自体は狭くはないんだけど、前が見えにくいから降りるのが怖いなぁ。
でも、私の後ろにはお二人がいるから下手にダラダラしてられないよね。








心臓をドキドキさせながら一歩足を踏み出そうとすると、背後から”あ、待って”と可愛らしい声が聞こえた。
グルッと顔を向けると、てるとさんは「僕が先に歩いてもいいですか？」と提案した。
ゆっくりと首を縦に振ると、彼は”失礼しますね”と言って私の一歩前に立った。
そして、何故か私の方に片手を差し伸べる仕草をした。
その行動の意味が理解出来ず固まっていると、てるとさんは優しい声で「お手をどうぞ」と言った。










てると「僕たちはこの階段に慣れているので特に問題はありませんが、
　 柚木さんの場合は初めてで少し恐怖感が沸いてしまうかなぁと思いまして。
　 だから、僕の手で良ければ摑まってください」









ニコッと笑ってそう言うてるとさんを見て、私は流石ホストだなぁと感じた。
女性への気遣いがしっかりしてるって言うか、一緒にいる人に対して最小限の注意を払ってくれてる気がする。
私は”ありがとうございます”とお礼を言ってから、てるとさんの手に視線を流した。
成長をしてから人の手を握るなんてこと、
ましてや年上の男性と手を繋ぐなんて行為ほとんど経験して来なかったから、緊張しながら彼の手を取った。








てると「じゃあ、ゆっくり進んでいくんで怖くなったらいつでも言ってください」








そう言って、彼は一段ずつ降りて行った。私の後ろではまひとさんが見守ってくれている。
……よし、頑張るぞ。

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