嘘 ページ35
一佳さんも帰宅したところで少し気を緩めながら店内に戻ると、
入口付近受付でななもりさんと関西弁のオレンジ髪の人が何かを話していた。
ゆっくりと足を近づけると、こちらに気付いた紫髪の社長さんが「お疲れ」と労いの言葉を送ってくれた。
慌てて頭を下げると、「ジェルくんと桜子ちゃんは挨拶って交わしてる？」という声が聞こえた。
顔を上げると、”じぇる”と呼ばれた方は優しい落ち着いた声で「まだっすね」と回答していた。
「＿＿＿＿どうも、最強エンターテイナーのジェルです！
飛行機のJALやなくてアルコールとかでよく聞く種類の方のジェルやから、そこんとこよろしく！」
大きく息を吸ってから深夜テンションような高さで自己紹介をするジェルさんに驚き、
私は反射的に「おぉ……」と呟いてしまった。
つい３秒ぐらい前まで穏やかな大人の雰囲気醸してましたよね？その空気は何処へ行ったんですか？
そう聞きたかったけどさすがに初対面なのもあり、遠慮という二文字を頭の中に浮かべて口を閉じた。
そして、私も彼の目を見つめて真っ直ぐ自分の名前を名乗った。
周囲にはお客さんもいたから、本名の部分は二人にしか聞こえないように声のボリュームを抑えた。
一応、さっき決めたホストの時の名前も教えておいた。
軽くお互いの紹介をやり終えた後、ジェルさん何故か真剣な表情で私を見つめた。
何だろうと思いながら視線に応えると、彼は「あぁ、すみません」と謝罪して顔を逸らした。
ジェル「人の顔を無言でじっと見つめるのは無粋やったね」
ななもり「サクくんに気になるところでもあった？」
ジェル「……いや、可愛い子やなと思って！なーくんの推薦ところちゃんたちのプロデュースやろ？」
「センスあるわぁ」と言いながらニコッと口角を上げるジェルさん。
その言動で、私はこの方が何かを隠したことが分かった。
明らかに返答するまでに間があったし、何より失礼だけど笑顔が嘘くさい。
たぶんだけど、私のこと疑ってるんだと思う。確証はないけど、状況から考えれば何となく察しが付く。
自分としてはいまいち信じられないけど、ななもりさんの手前言いにくいんだろうなぁ。
ジェルさんの心情に思いを寄せながら、私は”ありがとうございます”とお礼を口にした。
すると、ななもりさんが「サクくん、もう上がっていいよ」と言ってくれた。
上がる＿＿＿。つまり、退勤していいということだ。
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雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます！名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (
レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、！素敵な作品ですね！！一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、！ (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねｗ いつも読んでくださり本当にありがとうございます！ (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし，普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ！全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2023年10月18日 7時
