誤解 ページ34
あまりの豹変ぶりに体を硬直させていると、さとみさんは何事もなかったように綺麗な笑みを浮かべた。
……この人、表裏激しすぎるって。もはや、別人レベルで変わってるよ。
切り替えの早さに慄きつつ、私はお客さんとは反対側の席に腰を下ろした。
小さく息を吐くと同時に、一佳さんから視線を送られているのに気が付いた。
”どうしましたか？”と尋ねると、彼女は言いずらそうに口ごもりながら私の目を見た。
「ー−−あの、サクさんはさとみさんと親しいんですか！？」
突拍子のない質問に即答出来ず、私は”へ？”と間抜けな反応をしてしまった。
彼女の隣にいるさとみさんも驚きを隠せないようで、あんぐりと口を開けている。
＿＿＿私は、ここでどう答えるか悩んだ。
親しくないと言ったらお店に悪いイメージがついてしまうし、
かと言って肯定してしまえば変な誤解を与えてしまう気がする。
一佳さんの言い方とこちらを見つめる目から察するに、恐らく彼女はさとみさんに恋愛的な意味で気がある。
想いを寄せられている当の本人はガチ恋じゃないって言ってたけど、
この詰め寄り方は本気で好きな人がやる方法だ。
私が女の子だってバレたかどうかは分からないけど、
もし勘づいていなくても今の私は中性的な雰囲気だから、さとみさんに近づいてほしくないんだと思う。
我ながら鋭い考察をしていると、さとみさんが「これから仲を深めていく予定」と回答した。
その言葉に、一佳さんの顔が曇った。マズイ、このままじゃ取り返しのつかないのことになっちゃう……！
焦って頭をフル回転させていると、”仕事仲間として、余計な溝は作りたくないしな”という声が聞こえた。
もちろん、声の主はちょくちょく私のことをいびっているピンク髪の方である。
一瞬本当にそう思ってますかって聞きそうになったけど、そんなことをしたら私の首が飛ぶのは分かっている。
私は必死に出かけた言葉を呑み込んだ。
自分の意識を逸らすために一佳さんの方の見ると、安心したように息をついていた。
その反応に私も安堵してゆっくりと息を吐いた。そして嵐も去ったところで、私たちは楽しく会話を始めた。
本当にもの凄く気まずかったけど、一佳さんが喜んでくれていたので気に留めないことにした。
一時間程度お話した後、そろそろ帰宅したいと言う一佳さんを蝶子さんと同様に入口まで見送った。
さとみさんは家まで送るということで、ここで一旦別れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます！名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (
レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、！素敵な作品ですね！！一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、！ (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねｗ いつも読んでくださり本当にありがとうございます！ (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし，普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ！全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2023年10月18日 7時
