千差万別 ページ32
大人の世界の闇に目を白黒させていると、
あっとさんは「この職業って結構体張ってるんだよなぁ」としみじみ呟いた。
この言葉を聞いて改めて思った。___私にホストクラブのオーナーが務まるのかなって。
常識的に考えて、そんな黒い渦が巻き付く場所でごく普通の女子高生がやっていけるはずがない。
そう感じたけど、1か月間は頑張ると宣言したことを思い出してため息をついた。
私の様子を窺っていたあっとさんは、「マイペースに頑張ろ」と言ってくれた。
一息吸ってから”そうですね”と答えると、彼は「じゃあ、仕事に戻るわ」と部屋から出て行った。
私も後に続いて退出すると、ウルフカットの女性とイチャイチャしているそうまさんの姿が見えた。
何なら目が合ってしまった。うん、かなり気まずい。
一旦目線を逸らしてから再び視線を向けると、そうまさんが口パクで何かを伝えていた。
言っていることを読み解くためにじっと目を凝らすと、彼は「近くに寄らないで」と唇を動かしていた。
私の読唇術、なかなかじゃない?今、めっちゃ意思疎通出来てたよ。
心の中で盛大に自分を褒めながら、私はお客さんから見えない位置に移動した。
恐らくそうまさんが私に近くに寄らないでほしいと言ったのは、指名客の方に嫉妬されないようにするため。
失礼だけど女性のお客さんは雰囲気からして独占欲強そうだし、
関わったら何か危ないことを仕掛けられそうな予感がする。
私はそんな予想を立てながら、バレないようにそうまさんたちの方に目を向けた。
女性の方は清楚なように見えてガッツリ男性と体を密着させてるし、
それを受けてるそうまさんも笑顔で対応している。
これが、ホストの世界では”普通”なのかな。いや、でもさっきの蝶子さんは適度な距離を保ってたし……。
私は頭がこんがらがりそうになっていくのを感じながら、グルッと店内を見渡した。
莉犬さんたちのように楽しくお喋りするだけってお客さんもいれば、
そうまさんのように今にも恋が生まれそうな空気を漂わせている方もいる。
千差万別だなぁと思っていると、背後から「初めてのホスト体験は順調?」と私を気に掛ける声が聞こえた。
ゆっくりと後ろを振り返ると、濃い紫のカジュアルスーツに着替えたななもりさんが横に立っていた。
『これは……順調と言えるのでしょうか』
ななもり「あはは、みんな最初はそんなもんだよ。これから少しずつ慣らしていけば大丈夫」
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雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます!名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、!素敵な作品ですね!!一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、! (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねw いつも読んでくださり本当にありがとうございます! (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし,普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ!全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨萩さくり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年10月18日 7時