JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

色営 ページ31

そうまさんは「桜子さん、俺と離れてた方がいいかもしれないっす」と私に囁いて、
こちらに足を進めて歩いて来る女性に向かって微笑んだ。
私が言われた通りに物理的距離を取ると、
ウルフカットの女性は”久しぶり”と嬉しそうに口角を上げた。








「最近ちょっと忙しくて来れなかったけど、そうまに会いたくなって来ちゃった」

そうま「マジで？俺も美羽(みう)と会えなくて寂しかった」








自然な雰囲気でボディータッチをする二人。
付き合ってるのかと疑ったけど、たまたま私の横を通りかかったあっとさんに違うよと教えてくれた。
あっとさん曰く、色営の正式名称は”色恋営業”と言って、所謂色仕掛けのことらしい。
ホストと疑似恋愛が出来るってところが最大の長所みたい。ちなみに、この方も色営が専門何だとか……。
感嘆の声を漏らしながら相づちを打つと、あっとさんは「まぁ、問題も多いけどね」と呟いた。










あっと「ホストのサービスに本気になった姫が他の姫に嫉妬して刃物沙汰の事件起こしちゃうとか」

『え……』

あっと「それから、いつまで経っても自分に振り向いてくれないことに嫌気をさした姫が、
　 店ごとそのホストを裁判に訴えるとか。夜の世界はそういうの結構あるんだよね」









”色営は手っ取り早く指名客を確保できるけど、ホストの正規営業法の中で一番リスクがあるのよ”
＿＿＿そう、疲れた様子で呟くあっとさん。
正規の営業方法があるってことは、そうじゃない商業もあるってことなのかな。
疑問を抱いて尋ねると、彼は私をSTAFFルームまで誘導し、声のボリュームを抑えながら教えてくれた。
「女子高生にこの話を説明するのは何なんだけどさ」と前置きして、あっとさんは口を開いた。











あっと「桜子ちゃん、闇営業って聞いたことある？」

『えっと、法律とか契約に違反している営業法のこと……ですよね？』

あっと「そう。一般的に言うと、お金に困っている人に詐欺関係の金融会社を紹介したり、
　 違法の薬を勧めたりする人たちのことを指すんだけど。
　 夜職、特に水商売だとこういう方法で店を経営してる会社も少なくないんだ」









「それに、ヤクザとかが関係してるホストクラブも珍しくない」と衝撃的なことを口にするあっとさん。
驚いて目を見開いていると、”まぁ、うちはそういうのと一切関わってないから大丈夫だよ”と言ってくれた。
ホストも色々大変なんだなぁ……。

千差万別→←蝶子

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