JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

普通 ページ4

『……約束、ですか？』

ななもり「はい。実は、個人的に宗助さんと交わしていた約束がありまして」





”約束の内容に関しては、またの機会に”と言って、口を閉ざしたななもりさん。
ちょっと気になるけど、話したくないなら仕方ないか。
それより今は、私がホストクラブのオーナーを務めるという意味分からない件についてが先だ。
改めて考えても、いまいち状況が掴めない。







ななもり「まぁ、いきなりオーナーをやれなんて言われても無理な話ですよね。
　 でも、断る前にまずは俺たちが仕事をしている姿を見てみませんか？」


『いや、たぶん皆さんのお仕事を拝見しても、意見は変わらないと思いますよ？
　だいたい、普通に考えて女子高生がホストクラブのオーナーなんて、絶対にありえないですし』







世間一般的に見ても、あまりにも突飛すぎる。
あの子は何か危ない目に遭ってるんじゃないかって、変な目で見られそうだしなぁ。






＿＿＿そして、ななもりさんには悪いけど、正直”ホスト”にそんなにいい印象はない。






むしろ良くないイメージの方が強くて、不安要素が沢山ある。
さすがにそんな状態で引き受ける勇気はないし、
そもそも私にはホストクラブのオーナーなんて出来ないと思う。
すると、ななもりさんが「あのさ」と妙に深刻そうに呟いた。







ななもり「ー−−”普通”じゃないことは、そんなにダメなことなのかな？」

『え？』

ななもり「現代って、少しづつ個性を大事にする風潮になって来てると思うんだよね。
　 まだまだ固定概念が強いところも多いけど……。それでも、世の中は変わってきてる」







私の目を真っ直ぐ見つめて、そう言い切るななもりさん。
話し方は砕けてるけど、凄く真剣に言っているのが伝わってくる。






ななもり「そこまで”普通”に囚われなくてもいいんじゃないかな。
　 迷惑が掛からないのであれば、人がやらないようなことをやってみたっていいと思うし、
　 自分がやりたいことを貫き通したっていいと思う」






そこまで言って一旦言葉を区切り、ななもりさんは一息吸って「だって」と言葉を紡いだ。
次に繋がれる台詞を、私は自分の鼓動を感じながら待った。








ななもり「自分の人生をどう生きるかは自分次第、なんでしょ?」







そう言って、ななもりさんはフッと笑った。
＿＿＿あれ？今の台詞、どこかで聞いたような……。

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