JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

蝶子 ページ30

蝶子さんと１時間程度お話してみて分かったことがある。
”ー−−この方、めちゃくちゃいい人だ……！”
気品がある上にいやらしくない大人の色気を感じるし、お仕事で成功されて鼻が高いはずなのに、
それを鼻にかけるどころか謙虚に低姿勢でいる。
でも、自分を引きすぎず適度に”蝶子さん”という美しさを発揮しているのがカッコいい。









キラキラと尊敬の目を向けていると、蝶子さんは妖艶な笑みを浮かべた。
”このお店では莉犬さんとちぐさくんが一番可愛らしい方だと思っていましたけど、
サクさんはそれを上回るものを持っていますね”
微笑みながら褒めてくれる蝶子さんに、私は息をするのを忘れるぐらい見惚れてしまった。
これが世に言う女が惚れる女ってやつか。









心が昂っているのを感じながら４人でお話していると、蝶子さんがチラッと腕時計を見ながら、
「三人とも、今日はありがとうございました。凄く楽しかったです」と言って腰を上げた。
私は自分の頬が赤く染まっていくのを感じながら、立ち会がって頭を下げた。
真剣な想いで感謝の気持ちを伝えると、蝶子さんは「またお会いしたいですね」と返してくれた。









蝶子さんがお会計を済ませて外へ出ていくのをお店の前で見送ると、
私たちに姫がお店に来ているということを教えてくださった黄髪の体格がいいお兄さんが入り口に立っていた。
莉犬さんが”どうしたの？”と尋ねると、筋肉ムキムキの人は私に視線を流してから口を開いた。









「もりさんから、桜子さんと一緒に接客してほしいって伝達が来たんですよ」

ちぐさ「……俺らの次にそま兄が来るってちょっと意外っすね」

莉犬「何か考えてることがあるのかもね。まぁ、色んな商法を見るのは勉強になるしいいんじゃない？」









ちぐさくんたちは”行ってらっしゃ〜い”と手を振りながら私を送り出した。
黙って筋肉お兄さんの後をついていくと、店内の奥の方のソファーに腰を掛けた。
私もそれに倣って座ると、彼は「予め自己紹介しときますね」と言って名前を教えてくれた。








「俺はそうまって言います。STPRでは色営(いろえい)を専門にやってます」

『いろえい？』







言葉の意味を聞こうとした瞬間、「そうまさん、ご指名入りました〜！」という従業員さんの声が響いた。
彼は”あ〜”と声を漏らしてから苦笑いを浮かべ、
「実演しますね」と宣言してお客さんであろう２０代前半ぐらいの女性の方を見た。

色営→←社長

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