社長 ページ29
莉犬さんから激励を貰い、私は少し気持ちを向けてからお客さんの元へ向かった。
指定された席に着くと、花柄のワンピースを着た一人の女性が広い椅子に腰を下ろしていた。
彼女はこちらに気が付くと、「あら、新入りさんですか?」と上品に微笑んだ。
綺麗な人だなぁと思いながら視線を送っていると、女性はクスクス笑いながら優しい目で私を見つめた。
「可愛らしい方ですね。お名前は何というのですか?」
『……えっと、”サク”と申します』
私は桜子という名前を文字ってサクと名乗った。
もっと別の感じにしてもいいかなって思ったけど、咄嗟に思い付いたのがコレだった。
ドキドキしながらその場にピシッと立っていると、
ちぐさくんが「サクは、今日からしばらくの間だけ入ることになった見習いさんなんです」と付け足してくれた。
”至らない点もあるかとは思いますが、宜しくお願いします”と頭を下げると、
女性は「こちらこそ、今日はお相手よろしくお願いしますね」と返してくれた。
更には、女性の隣へ座るよう軽くソファーを叩いて「お隣にどうぞ」と誘導してくれた。
私は失礼しますと言って、女性の隣に腰を掛けた。
そして、ホストの二人も私たちの目の前の椅子に座った。
「虫の蝶、子供の子と書いて
莉犬「蝶子姫は一流企業の若手社長さんで、時間があるときはこうやって遊びに来てくださってるんだ」
”へぇ〜!”と相づちを打っていると、
蝶子さんは「一流企業だんて、そんな大層なものではありませんよ」と謙虚な姿勢を見せた。
何て物腰の柔らかな人なんだろう。
ホストクラブに来る人ってちょっとチャラい人のイメージが強かったけど、そうじゃない人もいるんだ。
そんなことを考えながら話を聞いていると、蝶子さんが「お酒は飲めますか?」と尋ねてくれた。
”よかったら何か頼みますよ”と提案してくれたけど、私は未成年なためアルコールを飲むことが出来ない。
どう返答しようか困っていると、莉犬さんがフォローを入れてくれた。
莉犬「彼はまだ子供舌みたいで。お酒が苦いと感じるみたいなんですよ。
これからに期待ってことで、今夜も俺たちと一緒に飲みませんか?」
相手を傷つけない断り方で、私は思わず感心してしまった。
しかも、サラッと自分たちとの飲みに誘ってる。私は羨望の眼差しを向けながら彼らをじっと見つめた___。
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雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます!名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、!素敵な作品ですね!!一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、! (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねw いつも読んでくださり本当にありがとうございます! (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし,普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ!全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨萩さくり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年10月18日 7時