御呪い ページ27
何か怒ってるのかなと不安になりながら立っていると、さとみさんが私の方に手を伸ばしてきた。
”殴られる……!”と思わず目を瞑ったけど、いつまで経っても全く痛みは感じることはなかった。
不審に思ってゆっくりとまぶたを開くと、呆れ気味にこちらを見つめているさとみさんの姿が視界に入った。
「別に殴んねーよ」と小さく呟き、さとみさんは私の着ていたジャケットの前を閉じた。
さとみ「お前、背筋伸ばしてると胸が見えるから気をつけろよ。
いくら男装ホストとは言っても、裏方に女がいるってだけで嫉妬する奴もいるから。
そういうのに絡まれないためにも、なるべく女ってバレないようにした方がいいぞ」
それだけ忠告し、さとみさんは私から離れていった。
目をパチクリさせながらその後ろ姿を見ていると、莉犬さんが「さとちゃんはね」と私に話しかけた。
”___言葉は厳しいけど、誰よりも周りのことを見てくれてる人なんだよ”
そう言われて、私は腑に落ちた気がした。
さっき彼が私にぶつけてきた言葉は、STPRが大切だったが故に吐き出てしまった想いだって考えると、
今の言動にも納得がいく。私は”なるほど”と言いながら首を縦に振った。
ふぅ〜とため息をつくと、突然ちぐさくんが私の目の前に立った。
驚いて目を見開いていると、彼は”ふっふっふ”と不敵な笑みを浮かべた。
何だろうと思いながら見つめていると、”手を出してください”とお願いをされた。
ちぐさ「緊張してる柚木さんのために、俺がとっておきのおまじないを教えちゃいますね」
そう言って、私の手の平に【人】という文字を三回書いたちぐさくん。
あまりにも懐かしすぎて、私は思わず「古くない!?」とツッコんでしまった。
”え、そう?”って不思議そうな顔をしてたけど、現代ではあんまり見ることはないと思う。
そう指摘すると、ちぐさくんはそれもそうかとあっさり頷いた。
一瞬の沈黙が訪れた後、私たちはすぐに笑いに包まれた。
莉犬「ついにちぐちゃんもJKとのジェネレーションギャップを感じちゃったかぁ……」
ちぐさ「待ってくださいよ。俺まだ22っすよ?そんな年代差感じることあります!?」
莉犬「いやいや、だっていくら何でもそれは古いでしょ」
その会話に、私は口元を緩ませてしまった。
口角が痛くなるのを感じながらクスクス笑っていると、ふとちぐさくんがこちらに視線を送って微笑んだ。
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雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます!名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、!素敵な作品ですね!!一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、! (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねw いつも読んでくださり本当にありがとうございます! (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし,普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ!全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨萩さくり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年10月18日 7時