JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

本音 ページ23

別にころんさんが苦手とかではない。
フレンドリーに接してくれるのはありがたいし、私に対して気を遣ってくれているのも気付いてる。
だけど、初対面の男性と二人きりという状況が気まず過ぎるのだ。
経験がなさすぎて、こういうとき何を話したらいいか分からない。
深呼吸をしながら莉犬さんを待っていると、ころんさんが「あのさ」と言って口を開いた。








ころん「……巻き込んでごめんね」

『え？』

ころん「ホストクラブを相続するとか、マジで意味分かんないでしょ。僕でさえ、未だに混乱してるし」








はぁとため息をついて、ころんさんはソファーの手を掛ける部分に腰を下ろした。
彼は”でも”と言葉を区切り、穏やかな表情を浮かべながらチラッと私を見た。
そして「正直、女子高生がホストクラブのオーナーとか面白そうじゃない？」と呟き、含み笑いをした。








ころん「もちろん、不安と心配が９割だよ？だけど、ちょっとだけワクワクしてるんだ。
　 ＿＿＿前例なんてないし、普通ならありえない。
　 その”常識外”を胸を張ってやりたいって言うなーくんに脱帽しちゃってさ。
　 この人が言うなら、桜子ちゃんを信じてみてもいいのかなってフィルターがかかっちゃうの」








そう言って、ころんさんは”僕、親バカならぬなーくんバカなんだ”と言って微笑んだ。
その言葉で、私はななもりさんがどれだけ慕われているか悟った。
ー−−凄いな。本当に、心から信頼してるんだ。








ころん「今後のことなんて分からないけどさ。……まずは自分を信じて。次は周りを信じて。
　 やりたいことを自分なりにやってみればいいんじゃないかな」







「これ、僕がなーくんに教えてもらったことね」と言って、ころんさんはふふと笑った。
そして、まるで”秘密だよ”とでも言うように自分の指を唇に当てた。
憧れている人の言葉を肝に銘じて、自信を持って己の人生を歩んでいる。私は、それが凄くカッコよく見えた。
ころんさんに尊敬の眼差しを向けていると、突然この部屋の扉が開き、赤い頭がひょこっと覗いた。









莉犬「ただいま〜！遅くなってごめんね。リップがどこにあるのか分からなくて探すのに時間かかちゃってさ」

ころん「全然大丈夫。僕のエモい話をするきっかけになったし」








莉犬さんは「どういうこと！？」と、ころんさんのボケに不思議そうにツッコんでいた。
＿＿＿STPRっていいなぁ。
私は心からそう感じた。

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