JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

微妙 ページ22

真剣な表情で私を見つめるころんさんと、笑うのを必死に堪えている莉犬さんがいた。
一瞬何で笑われてるのか分からなくて戸惑ったけど、しばらくしてから気づいた。
……あの小型犬、私が緊張してるのを分かって吹き出しそうになってるな。
あまりにも分かりやすく肩を震わせているため、私は心の中で毒づいてしまった。







莉犬「そんなに睨まないでよ〜。うぶで可愛いなぁって思っただけだから」

『絶対思ってませんよね』







そんなことないよーと棒読みで返事をする莉犬さん。
顔と声がいいからちょっと騙されそうになったけど、私には通じませんからね。
そう言うと、莉犬さんは「何それ」と言って吹き出した。
他愛もないやり取りをしていると、ころんさんが”う〜ん”と唸り声を上げていた。








ころん「……何というか、微妙」

莉犬「え、何が？桜子ちゃんの顔が？」

『だとしたら、ディスリ方がドストレートすぎませんか』







オブラートというものを知らないんですかね。
酷いなぁと思っていると、ころんさんは焦った様子で「違う違う」と首を横に振っていた。
私はころんさんのその反応に少し安堵した。
さすがに本気で顔に関して悪く言われることはないだろうけど、まぜ太さんという前科がいるからね。








そんなことを考えていると、莉犬さんも「桜子ちゃんの顔をディスってたわけじゃないよ」と訂正してくれた。
ご本人曰く、”自分のメイクが納得いかなかったの？”と聞きたかったらしい。
すると、ころんさんは、「うん……」と言って頷いた。








ころん「全体としては悪くないんだけど、インパクトが足りない気がするんだよね」







莉犬さんは”あ〜”と相づちを打った後、
しばらく考え込んでから「リップを塗ってないからじゃない？」と呟いた。
その言葉を聞いたころんさんは、「それだ！」と手を叩いた。








ころん「そういうことかぁ。原因は分かったものの、解決しようがないな。
　 いくら何でも口紅を借りるわけにはいかないし、かと言って今から買いに行くのも面倒だし」

『そうですね……』







どうしようかと悩んでいると、莉犬さんが小さく”あ”と何かを思い出したような声を出した。
そして、「俺、鞄に使ってないリップ入ってるかも。それなら使っていいよ」と心優しいことを言ってくれた。
莉犬さんは荷物から口紅を取りに行くために部屋を出た。






室内には私ところんさんの二人。き、気まずいなぁ……。

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