JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

魔法 ページ19

自信満々に宣言して、まぜ太さんは私の髪をせっせと結い始めた。
美容師と言うだけあって手際がよく、あっという間にヘアセットが終わった。
まぜ太に渡された手鏡で自分の姿を見ると、お団子ハーフアップになっていた。
最近、街中で髪の長い男性がこういう髪型にしているのを見かけたことがある。








まぜ太「仕事の関係で今日はウィッグも持ってるけど、
　 せっかくだから中性的な雰囲気を生かすために地毛で結ってみた。どう？」

『自分とは思えないぐらい、めちゃくちゃいいです……！』







可愛い服を着ているのも相まって、余計に似合って見える。
そう伝えると、目の前の彼は満足そうに頷いた。
そして、「最後の仕上げね」と言ってどこかへ行ってしまった。
驚きながらもそのまま待っていると、まぜ太さんはころんさんと小柄な赤髪さんを引き連れて戻ってきた。
急に戻ってきたと思いきや、突然まぜ太さんが”さて、問題です”と言ってきた。








まぜ太「女の子が可愛くなるために使う魔法は何でしょう？」

『え？えーっと、ダイエット？』







別にダイエットを魔法とは思ってはいなかったけど、すぐに出てきたのがこれだった。
まぜ太さんは「ぶっぶー。違いま〜す」と、イラっとくる声を出しながら腕で×マークを作った。
私は”じゃあ、ヘアメイクですか”と口を尖らせながら言うと、”惜しい”と返された。
正直、正解だと思ったので少し面を食らった。だって、この人美容師だし。髪の毛に関することかと思った。
答えが分からず黙っていると、まぜ太さんが「え、ホントに出てこないの？」と驚いた表情を浮かべた。







まぜ太「これ出てこないはヤバいよ。女子高校生やり直した方がいい」

『そんなに言います！？』






ちょっと悔しくなって勢いよくツッコむと、ころんさんが「普通にメイクじゃないの？」と尋ねた。
すると、まぜ太さんがニコッと笑って”正解です！”と返答した。
私が「メイクって魔法なんですか？」と聞くと、まぜ太さんは「当たり前でしょ」と言い切った。








まぜ太「メイク道具一つで、自分の雰囲気がガラリと変わる。さらに道具を増やせば、別人にもなれる。
　 これを魔法と呼ばずに逆に何て呼ぶのさ」







……意外と、まぜ太さんってロマンチストかもしれない。
そんなことを考えていると、彼は一息吸って「今から」と前置きして口を開いた。






まぜ太「＿＿＿その魔法を、この二人がキミにかけてあげます」

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