JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

男装 ページ17

『無理ですよ！私は男装なんてしたことないし、ましてやホストクラブの接客を見たことすらない人間です。
　そんな人が何の知識もなしに接客しようなんて無茶すぎます』





必死に訴えたけど、ななもりさんは”大丈夫、イケるよ”としか言ってくれなかった。
１ｍｍも大丈夫じゃないし、全くもってイケないから言ってるんですけど？
何故か全然話を聞いてくれないななもりさんに対し、私は困惑の色を見せた。








ななもり「接客って言っても、今回は仕事の様子を見学してもらうだけだから安心して。
　 ＿＿＿うちの現役ホスト＆姫と一緒に楽しく会話する。それが桜子ちゃんの今日のお仕事だよ」








そう言って、彼は私を更衣室に誘導した。
”ＳＴＡＦＦ ＯＮＬＹ”と書かれた場所に移動した瞬間、
ななもりさんは私だけ室内に押し込んで速攻部屋の鍵を閉めた。
私はその行動で、あの人が本気で私に接客させる気だということを察した。








一応中からも開けられるけど、きっと彼は私が着替えるまで出してくれないと思う。
そんなことを考えながら、私は貸してもらった服を見下ろした。
白いYシャツに、ジャラジャラしてる漆黒色の上着。それからシンプルな黒のスキニー。
ちょっと厳ついな思いつつも、”一人で苺荘に戻ってもやることないし、１か月間は頑張るって言っちゃったしな”
私はそう自分にそう言い聞かせて着替えた。







大体の準備が整ってから、私はドアをノックした。
今まで部屋の内側からドアを叩くなんて経験はなかったから、私は妙な感情を抱きながら外の返事を待った。
一呼吸間を置いてから「あ、着替え終わった〜？」と尋ねるななもりさんの声が聞こえた。
私が”はい”と返事をすると、”おっけー！”と何とも軽い返答が来た。
すると、ドアがガチャガチャという音を立てゆっくりと開いた。







もちろん、開けたのはここの更衣室の鍵を所持しているななもりさんだ。
彼は堂々とドアを開けた瞬間、「おぉ〜」と微妙な声を上げた。
人に無理やり服を着させといてその反応は酷くないですか。
そう指摘すると、ななもりさんは”いやー、カッコいいんだけどさ”と前置きして口を開いた。







ななもり「桜子ちゃんのイメージと合ってないんだよねぇ……」







どうしようと呟くななもりさん。正直、自分でも全然似合ってないなと思った。
でも、今はこれ以外に着れる服がない。困り果てていると、まぜ太さんが「あの〜」と顔を覗かせていた。

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