職場体験 ページ16
店内が程よく笑いに包まれたところで、私は大きく息を吸って「あの」と声を出した。
思ったより私の声が室内に響いてしまい、先ほどまでの明るい雰囲気から緊張した空気に逆戻りしてしまった。
どう切り出そうか困っていると、ななもりさんが優しい声で”どうしたの?”と尋ねてくれた。
私はゆっくりと従業員さんの目を見ながら、ななもりさんが出してくれた助け舟に乗っかった。
『___1か月間は、自分なりに頑張らせて頂きます。
至らない点はあるかと思いますが、よろしくお願いします』
私はバイト初日の時のような緊張感を覚えながら、深々と頭を下げた。
一瞬の間を置いてから、ななもりさんを筆頭に「よろしくね」と言ってくださる人の声が数名分聞こえた。
顔を上げると、ななもりさんが何故か私に視線を送りながらニコニコと笑っていた。
……嫌な予感がするのは気のせいかな。いや、むしろ私の勘違いであってほしい。
ななもり「じゃあ、さっそく職場体験してみよっか」
『……はい?』
私は言われたことが瞬時に理解出来ず、思わず疑問の声を上げた。
そんな私のことなんて気にもせず、ななもりさんはころんさんに向かって何かを話しかけた。
それを聞いたころんさんは、「服を持って来いってそういうことだったんだ」と納得したように頷いた。
ななもり「奥に更衣室があるから、接客用の服に着替えておいで」
そう言って、ななもりさんはころんさんが持っている手提げ袋を指さした。
”ころちゃんの服だけど、二人とも身長が近いからぶかぶかになりぎることはないよ”って付け足されたけど、
私が言いたいのはそういうことじゃない。……いや、え?職場体験ってどういうこと?
私は頭が混乱しつつも、ころんさんが持っていた服を受け取った。
『ー−−ま、待ってください。私も接客するんですか!?』
ななもり「姫以外の女の子がホストクラブにいるのはちょっとグレーだから、
男装ホストとして姫と会話しよう!」
私は”いやいやいや”と前置きして、オーナーの仕事とは関係ないことを指摘した。
ななもりさんは「実際にホストの仕事を体験してみるのもオーナーとしての大事な経験だよ」と流してきた。
私が「それはそうですけど……」と口ごもっていると、
紫髪の人が私の背後に回り、背中を軽く押しながら”まずはやってみよう”と推し進めてきた。
___う、嘘でしょ……!?
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雨萩さくり(プロフ) - ゆーちゃんさん» コメントありがとうございます!名前変換はストーリーの都合上、ちょっと難しいですね……。ご期待に沿えずごめんなさい💦 (12月23日 9時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します、!素敵な作品ですね!!一気読みしちゃって二周目入りました(*´꒳`*) あとよかったらでいいのですが、続編もすべて名前変換使えるようにしてくださるとありがたいです……。ワガママ言ってごめんなさい、! (12月23日 4時) (レス) @page8 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - むむさん» アハハ、のほほんとしながら読んでくださるときがあるんですねw いつも読んでくださり本当にありがとうございます! (12月19日 13時) (レス) @page49 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
むむ - 更新お疲れ様です(*´꒳`*)さくりさんの作品は本当にのほほんとして呼んでも面白いし,普通に読んでも面白いので本当に応援してます(*´꒳`*) (12月19日 12時) (レス) id: bee7f787c2 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ホントだ!全然気付かなかった、教えてくれてありがとう(笑) (12月18日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨萩さくり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年10月18日 7時