JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

疑問 ページ12

突然言われた言葉に、私は「ん？」と疑問を抱いた。
他の従業員さんも”え？”と不思議そうな表情をしている。
そんな私たちの行動なんて気にせず、ななもりさんは次の言葉を紡いだ。






ななもり「前オーナー宗助さんは、次期オーナーが誰か言わずにこの世を旅立ってしまいました」

「だから、それは俺らで決めるんだろ？あの人が亡くなった今、このクラブの権限は俺たちにあるわけだし」






驚くぐらいイケボなピンク髪の男性が、ななもりさんにそう尋ねた。
質問を投げられたななもりさんは、一瞬間をおいてから「まぁ、そうだね」と返していた。
その反応を見たころんさんは、”まさかとは思うけど”と前置きして口を開いた。







ころん「今から話すオーナーの件について、桜子ちゃん(この子)が関係してるとかないよね……？」

ななもり「めちゃくちゃ関係してるね。何なら、桜子ちゃんにオーナーを任せようかなと思ってるし」







突如投下された爆弾発言をすぐには理解出来ず、私たちの間に無の空気が流れた。
そして、３秒程時が経ってから「へ？」という誰かの声が聞こえ始めたと同時に店内が騒がしくなった。
”嘘でしょ”と驚きの声を上げる人や、”ありえない”と呆れ気味に呟く人など、三者三様だった。







「＿＿＿はは。冗談だろ？」

「何でそんなまたぶっ飛んだことを……」







さっきのピンク髪の男性と、身長が低めで中性的な可愛い声の男性が疑問の声を上げた。
私も同じことを言おうとしていたので助かった。というか、私さっき断ったよね？話したこと忘れた？
不安な思いを抱えながらななもりさんを見つめると、彼は真剣な表情で辺りを見渡した。







ななもり「本気だよ。俺はこの件に関して、何一つ嘘は言ってない。
　 ー−−それにこれは俺の独断じゃなくて、宗助さんの最期の願いだから」






そう言って、ななもりさんはおじぃの遺書をみんなに見えるように広げ、手紙の内容を大きな声で読み始めた。
急に逝ってしまったことへの謝罪や、これからのクラブ運営についての話が書かれていた。
そして、”STPRのオーナーは孫の桜子に任せる”とななもりさんが読み上げた瞬間、
店内に従業員さんの「はぁ！？」という声が響き渡った。







「いやいや、さすがにバカでしょ。いくらあの人の頼みでも、言ってることが無謀すぎる」

「ホスト経験がないどころか、未成年って……。絶対やめた方がいいよ」

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