42話[過去編] ページ44
東京とはいえ、
都会からは外れ気味の場所にある病院だからなのか
大部屋ではあるが、この病室の入院患者はAしかいない状態だった。
黒尾『…ふう』
一呼吸置いて落ち着かせ
もしかしたら眠っているかもしれないから静かに病室へ入る。
ベッドの周りのカーテンは閉められていているが、
窓からの光でできた影で
保健室の先生がまだ傍についててくれてたのがわかった。
A『……せんせぇ、俺ね』
黒尾/研磨『!』
長らく聞いてなかった
か弱く、寂しげな声に思わず立ち止まってしまった。
A『中二の時ここの病院でね、
姉ちゃんが死.ぬ間際に約束したの
バレーで、世界一になるって
約束、したの。
姉ちゃんが、最期に
’’天国にも届くくらい、有名なってよね’’って、
’’そんでもって、幸せになるんだよ’’って言って、
静かに眠りについたんだ。』
3年前の、Aの姉ちゃんの葬式の日にも聞いた
Aの言葉。
黒尾『っ!おい、研磨待てって…』
俺と立ち止まってた研磨が
いきなり早足でベッドの方へ歩き出したので
慌てて止めようとするが、時既に遅く
研磨がカーテンを豪快に開ける方が早かった。
A『!?びっくりした……
2人とも来てくれたんだ。ありがとう。』
Aはさっきの弱々しい声なんて無かったかのように
いつも通りに振舞っていた。
養護教諭『アンタら一言くらい声掛けなさいよね〜、
びっくりして寿命縮むわ。
じゃ、3人で話したい事もあるだろーし私は帰るとしますか
鵠、ちゃんと大人しくしてんだよ?』
A『ウッス!先生こんな時間までありがと』
『じゃーねー』と手を振って病室を出て行く先生は
あの事を知っているのか知りたくて、咄嗟に追いかけた。
研磨『…。』
__
黒尾『先生。』
養護教諭『ん?……あぁ、アンタももしかして聞いたの?』
黒尾『ナースステーションでの会話を、偶然聞いて…
もうバレーはできないって。』
養護教諭『……そっか
私は鵠と一緒に色々症状の説明とか受けた後に
担当医に、鵠に聞こえないようにここの廊下で言われたよ。
普通の日常生活に支障は出ないくらいまでの回復はできても
再発の可能性や、その場合の後遺症の事も考えると
動きの激しい運動は制限せざるを得ない。
だから、バレーはもうできないって。
…担当医から後日伝えるとは言われたけど、残酷よね。』
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キクラゲ(プロフ) - ナノハナさん» ナノハナさん、コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!(^^)更新頑張っていきますので、これからもぜひよろしくお願いいたします。 (3月11日 7時) (レス) id: c522cf4b3f (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 初コメ失礼します!この作品めっちゃ面白いです!!続きがとても待ち遠しくなります!頑張ってください!応援してます! (3月10日 17時) (レス) @page21 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キクラゲ | 作成日時:2024年3月6日 7時