第九話『朝焼けのよう』 ページ10
炭治郎side
“兄ちゃん....兄ちゃん、起きて!!”
「っ!!」
今の声は...茂か?何で茂の声が。ううん、今はそんな事を考えている場合じゃない。
ハッと我に返り飛び起きて、俺の目に最初に映ったのは。あの異形の鬼から俺を庇うかのように、俺の前に立つ...Aの姿だった。
A...!?何で、隠れてろと言ったのに。まさか...俺を、助ける為に?
『はっはっは残念でした。ここにはハゲはあんた一人しか居ないわ!!』
「俺はハゲじゃねェェェェェ!!!」
『ハゲやわ増毛しろよ』
...見解してるのか?お喋りしてるのか...(混乱)?なんだか二人してムキになって言い合っていて、俺は仲裁に入っていいのか分からなくなっていた。
「まぁいい...死ね」
異形の鬼が、例のあの無数の手をAに向けたかと思うと、彼女を襲おうとする。
何をボケッとしていたんだ俺は!!早くAを助けないと...!!
「Aー!!逃げろォォォ!!」
Aは、自分に襲いかかってくる手を呆然と見つめた。数秒間の沈黙の後...何故か、腰の刀を抜く。
「...、え?」
...何故だろう、さっきまでの彼女のにおいが変わった。
彼女を助けようと走り出していた俺までもが、ピタッと足を止めてしまうくらいに綺麗な動作だった。その上に、何故か俺は彼女を邪魔したらいけないような気がして。
Aの抜いた刀は...息を呑むように美しい刀だった。刃先は...透明で透き通ってみえる。
「これでお前もお終い...、っ!?」
俺は目を疑った。Aに届くはずの鬼の手を...Aは流れるような動作で避けた。
それから、彼女は異形の鬼に向かって刀片手に走り出す。焦って鬼が繰り出す手を、Aはただただ飛ぶように避けた。
「A...」
明らかに、さっきまでの彼女のにおいとは違う。あれは素人の動きじゃない。完全に、訓練を受けた動きーーーー。
「な、何なんだよお前...死ね!!」
「A!!」
自分に、何の攻撃もさらりとかわしてジリジリと近づいてくるAに焦ったのか、何本の手が一気にAの進行方向に向かってくる。
さすがにこれは避けきれない。けれど...。
『ーーー天の呼吸、壱ノ型...朝焼けの暁紅』
一瞬、透明な刀が淡い茜色に染まった気がした。
Aは、その刀を何本の腕に向かって斜めに振り下ろし...スパン、と軽やかな音がした。
彼女を取り巻く景色までもがきらきらして朝焼けのように綺麗だった。
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みるく - 藻さん» いつも楽しみに......!?ありがとうございますっ、感謝感激です!!ですね、もしかしたらそうかも......(( でも無惨様がラーメン食べてるとこ想像したら...笑 (2020年5月1日 22時) (レス) id: e3ab556303 (このIDを非表示/違反報告)
藻(プロフ) - みるくさん» いつも更新楽しみにしてますよ!!下弦に探させたんですか………!!?ないのに……!?相変わらず人使い荒いですね…そんなとこも好きです、見つかんなかったから下弦解体しちゃったのか………? (2020年4月30日 21時) (レス) id: e085f6cc78 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 藻さん» そうです無惨様は悪くない(作者)!!本当にいつも読んでくださってありがとうございます、後日無惨様はらーめんとやらを下弦達に探させたとか何とか......。 (2020年4月30日 20時) (レス) id: e3ab556303 (このIDを非表示/違反報告)
藻(プロフ) - ら、らーめんとはなんだ……!!!?…………そうか、大正時代にラーメンないですもんね!!無惨様は悪くない!! (2020年4月30日 20時) (レス) id: e085f6cc78 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 藻さん» 分かってくださった方がいた(盛大なネタバレ)!!いや本当にありがとうございます、誰やねんこの人とか思われたらどうしようかと思ってました......。パワハラ会議ご本人様々じゃないですか...あかん......(下弦風)。 (2020年4月30日 19時) (レス) id: e3ab556303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2020年3月31日 13時