08．クラリオ・オーヴァン ページ9
「あんな弱そうなやつと戦うんだ。しかもオリオンに染まっていない国の選手と。」
誰にも聞こえない様に細心の注意を払って小声で呟いた水無月。
大きな体格から強そうにも見えるクラリオ。いや、スペインチームは強豪チームだ。だからそのキャプテンであるクラリオが強いと言うのも当然となる。なのに何故、彼女はは弱いと彼を馬鹿にしたのだろう。しかし、彼女が侮辱したのはクラリオ…又はスペインチームだけで無い。日本も、だ。どうやらクラリオが弱そうなら日本なんてもっと弱い…と言う考えらしい。それはクラリオとの手合わせで負けてしまえば事実となってしまう事だ。
「誰かに聞こえたらどうするんだ。目立つ行動はしないでくれ。」
きっ、と強く睨みつける星田。はぁ、と溜息を吐いたのは星田では無く水無月だ。分かってる、そんなヘマはしないって、と面倒臭そうな声色で星田に返した。半ば適当な返答に星田の不安は積もっていくばかりだ。
19対1…と言う不利な人数で行われた手合わせ。
クラリオは19人の敵に動じること無く、強烈なシュート技を打った。『ダイヤモンドレイ』…その技はゴールキーパー3人でも止められることなかった。結果は敗北、だ。
イナズマジャパンには前回のFF優勝チームのメンバー、そして伝説のゴールキーパーと言われる円堂が居るのに…全く歯が立たなかった。
「凄い…！これが強豪、スペインの力…。」
ごくりとつばを飲み、言葉を口にした水無月。じっとクラリオを見つめている紅い瞳は輝いている…様にも見えた。
しかし、全く本気を出していなかった水無月は見事に敗北したイナズマジャパンを見て
「(やっぱり…この程度か。あんな弱い奴にに負けるなんて…。これなら一回戦で簡単に負けさせられるな。」)
と予想通りだ、と言うように笑みを浮かべほくそ笑んでいた。
「すぐに潰して見せるさ。イナズマジャパン…！」
星田の青い髪が揺れ彼の小さな声は風と選手達の声の中に…共に消えていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
