634歩目 ページ23
ルフィの声に、塔の上を見上げたベラミーが不敵な笑みを浮かべる。
ベ「……今、お前の噂をしてたトコさ…」
ギロリとベラミーがルフィを睨めつけた。
ベ「おれに用か！！？」
ル「そうだ」
ルフィはベラミーを見下ろしたまま、そう答える。
ル「ひし形のおっさんの金塊を返せ！！！」
ベ「金塊！？……ああ、クリケットのジジイが持ってたヤツか。」
ベラミーはニヤニヤと笑ったまま、軽く足を曲げた。
(…！能力者ね)
足が変形し、バネのような形へ変わっていく。ギシッ…と僅かに軋むような音をたてたベラミーの足が地面を蹴った。
『…！』
ベラミーがあっという間にルフィの立つ塔を超える高さまで跳び上がる。
ベ「返すも何も……」
ベラミーはストンとルフィに対峙するように塔の屋根の上に立った。
ベ「アレはおれが海賊として奪ったんだ」
ベラミーはそう言って軽く片眉を上げると、ニヤリと笑う。
ベ「海賊のお前にとやかく言われる筋合いはねェはずだ」
ル「あるさ」
ベ「！」
ルフィの言葉にベラミーが一瞬訝しげな顔をした。ひゅうと一陣の風が二人の間を吹き抜ける。
ル「おっさん達は友達だ！！だから、おれが奪い返すんだ！！！」
ルフィの言葉にベラミーは一瞬面食らったような顔をした。そして、ブッと噴き出した。
ベ「ハハッ！！！ハハハハハ！！！」
ベラミーは腹に片手を当てたまま、ゲラゲラと笑う。
ベ「聞くがお前……戦闘が出来るのか！？『パンチの打ち方』を知ってんのか！？ハハハハハハハハハハ！！！」
ベラミーは馬鹿にするようにルフィを笑い続ける。
ベ「てめェみてェな腰抜けに何が出来る！！！」
ルフィは表情一つ変えない。ただ、ルフィの怒りは確かに感じる。その静かな表情の意味が、ベラミーには分からないらしい。
ベ「昼間みたいに怯えて突っ立ってても、おれからは何も奪えやしねェんだぜ！！臆病者！！」
ゲラゲラ笑うベラミーをルフィは真っ直ぐに見据えていた。
ル「昼間の事は、別の話だ」
ベ「ハハハハハ！！そうか…一体何が違うんだ！？…じゃあ、今度は…」
ベラミーの脚の形がまたバネの形に変わる。
ベ「もう二度とそんな生意気な口がきけねェようにしてやるっ！！」
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作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
