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「おーい、〇〇クン。 ワタシの授業で寝るとはなかなか肝が据わってるじゃあないか。 んー……まだ1時間目だが、そんなに疲れているのかい? それとも『家庭科なんて知らなくてもいいし』なんて思考を放棄しているのかい? ーーはは、まぁどちらでも構わないが、この科目は人生をダイレクトに豊かに出来る素敵な教科だとPRしておこう。 その意味を理解するか否かはキミ自身に任せるよ」


「さて、ここで面白い話をしてやろう。 ワタシはご存じの通り、味覚が死んでいる。 これを食べても何も感じないし、不味いだけだ。 だが、最高に美味い料理を作ることが出来る自信がある。 その秘訣は、レシピ通りに作る事ーーそれだけだ。 ……いいかい、キミはまずレシピをしっかりと見て、それ通りに作ることを覚えるべきだね」


「なぁ、〇〇クン! 聞いてくれよ! ついにForkでも苦味を感じる調理法についての資料を発見したんだ。 あぁ、結果かい。 ……空振りに終わったよ。 この類の話は注目度が高いからね。 デマが多いのさ。 はは、実に残念だ」


「お、お前鼻で笑ったな!? ワタシの努力の成果をそんな憐みの表情で見るんじゃあない。 ワタシはそういった、どうでもいいような研究の積み重ねの先の景色を見ているワケだ。 千里の道も一歩から始めなければ、大きな成果に永久に辿り着かない……そうだろう?」


「はぁ、キミの友人や知人にスイーツ研究機関の人間は居ないかね。 あそこの研究結果は実に役に立つのだが、学会が行われない限り情報が出回らないのが非常にネックでね。 学会も楽に参加できるものじゃあ無いし、何かとつながりを持っていられればもっと情報収集が楽になるのだが。 ーー何、独学じゃあ限度ってモンがあるんだよ。 流石のワタシでも彼らの研究には到底及ばないさ」


「ふゎぁ……Forkでも辛みを感じられるカレーライスについて考えていたら月曜日の朝だった……。 はは、流石に少し眠たいね。 ただ、少し希望が見えてきた。 これなら1か月後の調理実習に間に合うかもしれない。 ……折角やるんだから、全員で楽しめる実習にしたいじゃあないか。 というワケで、職員会議までワタシは寝る」

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作者名:桜子 | 作者ホームページ:-  
作成日時:2024年2月19日 17時

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