僕の声、君を救うため。【あほの坂田】 (ページ5)

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もう中学3年の3月。卒業だ。

俺とAは幼馴染だけど、アニメとか漫画みたいに一緒の高校に行く事は無い。お互い進路が違うから。
俺は看護系、君は音楽系。

卒業と自由は紙一重。
卒業した後は上京すれば親から離れる事ができる。そりゃ親に何か言われたりする事もあるだろう。

でも、自由になれるのは変わりない。

だから、楽しみ。

だけど、楽しみの中にも心配はある。

一人暮らしできるかな、そんな単純な心配じゃない。

Aの事だ。

Aは1人で溜め込んでしまう。それも、誰が見ても分からないように。

親にも、何も言えなかったのに。1人になったら身が楽だろう。だけど、今までの環境よりももっと1人で溜め込みやすくなる。

携帯なんて物、無い。みんなとの連絡は、みんなが家の電話を使っていた。

Aと連絡を取る方法もそれ。だから、今からはもう、…電話もできない。

ねぇ、君は大丈夫だろうか。

もう君の前では歌えない。Aの為に歌えない。

唯一の君の救いも、もう無くなる。支えが、…無くなる。

そんな状況になっても、しっかり頑張れるだろうか。

君の事は、自分の事よりも気にしてる。

でも、君の為に歌い続けるよ。君に届かなくても、歌う。

君に届かなくても、届ける方法を見つけたから。

届くかもしれない、その可能性にかけて僕は歌い続ける＿＿＿＿＿。