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もし、私の記憶が無くなっていったら。
他の家族のことはどうでもいい、どうでもいいというのは悪いかもしれないけど。
あなたとの思い出は忘れたくないなぁ…
だから、あなたとの思い出を作り直してほしいの。
あなたを彼氏と覚えている間に。ギリギリまでその記憶を遺せるように。



******
 


彼女の事故から5日が経過しようとした日
ついに、彼女の体に異変が起こった。


「さかたん……どうしよう。」


病室に入るや否や、目に入ったのはボロボロと涙をこぼしている彼女だった。
慌てて駆け寄って理由を聞けば今まで毎朝思い出していた記憶を思い出せなくなったという。
ついに始まってしまったんだ。Aの死へのカウントダウンが。



「A!!病院出てもえぇんやろ?」

「う、うん……」

「消えてしまった思い出は、しゃーない。それなら新しいのどんどん作っていけばえぇねん!」

「さかたん……」

「ってわけで!早速やけど出かけるで!!」


 
そう言って、彼女の手を引く。
点滴も、何も繋がれていない彼女はいつでも外に行っていいのだ。
入院する必要はないと言われそうだが、脳はいつ何が起こってもおかしくないから。


彼女を連れてやってきたのは、病院の近所にある大きなショッピングモール。
記憶が無くなってしまうなら、何か形に残るものをたくさんあげればいい。
もし無くなってしまっても、これはここで買ったんだよとかいろいろな思い出を話せるように。

そう考えた俺は、自分でもうまいこと考えたと思うが
今はそう考えた俺にこう言ってやりたい…『お前、自分のセンス思い出せ』と。


 
「ん〜これもえぇし、こっちも…あーもう!俺服選ぶの苦手!!」

「えぇ……」

「いや、俺が洋服のセンスないのAが1番よく知っとるやろ!?」

「でも、洋服買ってあげるって言ったのさかたんじゃん……」

「ぐぬぬ…」


さっきから、Aを見て服を見て、またAを見てを何回も繰り返した。
病院で着るということならゆったりとした洋服がいいと思う。
そして赤い服がいい、それは俺のちょっとした独占欲でしかないけど。


 
「……これや!」

「パーカー?」

「コレならいつでも羽織れるやろ!赤やし!俺っぽいし!」

「うん…これならいつも一緒みたいだよね…!」

「…その不意打ちはアカンと思うで。」


 
この他も色々買った、彼女の記憶はそれからどんどんと消えていってしまったが。
俺が覚えてるから、大丈夫やで。
 

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や-さん(プロフ) - 涙がとまりません…とても素晴らしい作品です!! (2019年5月22日 3時) (レス) id: ec5ca44496 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ボロ泣きしました…悲しくて悲しくて涙止まんないのに所々キュンキュン所あってまたすぐ悲しくなって後半は泣きっぱなしで読んでました…素晴らしい作品ありがとうございました…! (2019年5月20日 11時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 蒸しタオルのせて何とか回復してください…!こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - ゆきさん» 感動していただけてよかったです、ありがとうございました! (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 三日夜 雪璃さん» そう言っていただけて嬉しいです、読んでいただきありがとうございました! (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Elice | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年5月15日 21時

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