さいごのひ ページ11
それから、3日後。
俺は、朝早くから先生や病院の許可をもらって、彼女の病室に来ていた。
久しぶりに身にまとう、真っ白な看護師としての服。
長く伸びている髪はピン止めとゴムで何とかまとめた。
「A、これが俺にできる最後のことやから…なんて、これからやることお前が知ったら
恥ずかしいから！って夢に化けて出そうやな！…化けて…出てきてな。」
答えてくれない彼女に、涙が出そうなのを必死にこらえた。
そう、俺がこれから彼女に行うことは、この後行われる判定の後
彼女の死が、認められてしまった後に行う、『死後処置』というものだ。
一般的には看護師が死者の身を清めるために行うそれを、資格は持っているから
最期くらい、自分にできることをやらせてくれと病院に直談判したのだった。
免許というものは凄いのか、担当してくれた医者の権力がすごいのか。
それは受け入れられた。名札と制服を借りて……何やろ、今の俺が着るとコスプレ感しかない。
『2度目の判定を行います。』
この2度目の判定で、脳死が認められると彼女は死 んだことになる。
そうしたら、Aにつながれている管を取って………
ちょっと文章にはできないことをしてから、彼女の体をふく。
「んじゃ、拭いてくで。」
彼女の体を温かく濡らしたタオルで拭いていく。
まだ、暖かいけど…もう息もしてない。抱きしめても鼓動は聞こえない。
これは、俺にしかできない最期のことで。そして、俺がAの死を受け入れるための
手段であって……拭いていった体に涙がこぼれる。
「やっぱ泣かんなんて無理やった…」
拭いた後は、清潔な衣に着替えさせる。
彼女を抱きしめて、まだ暖かい唇にキスを落とした。
あぁ、こうやってキスするのも最期なんだ……最期、なんや。
「なぁ、A。最期に俺…愛してるって言うたん聞こえてたか？」
「大好きで、愛してるから…またもし、来世ってのがあるのなら…俺と付き合ってな。」
そっと、彼女の顔に布をかける。
こうして、俺の愛しい彼女は遠い遠いところに旅立ったのだ。
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や-さん(プロフ) - 涙がとまりません…とても素晴らしい作品です!! (2019年5月22日 3時) (
レス) id: ec5ca44496 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ボロ泣きしました…悲しくて悲しくて涙止まんないのに所々キュンキュン所あってまたすぐ悲しくなって後半は泣きっぱなしで読んでました…素晴らしい作品ありがとうございました…！ (2019年5月20日 11時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 蒸しタオルのせて何とか回復してください…！こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - ゆきさん» 感動していただけてよかったです、ありがとうございました！ (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 三日夜 雪璃さん» そう言っていただけて嬉しいです、読んでいただきありがとうございました！ (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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