006 ページ6
『まずい……ウプッ……』
まともな食べ物を口に入れたい。
叶わないとしても せめて水がほしい。
『なんなのあれ……誰か助けてよ……』
とは言ったものの、どうせ助けなんか来ないのだろう。
あのクソまずい料理が現れるのを待つしかない。
しかし、お品書きに書かれていたのは5品だ。
さっき食べたのが4品目。
つまり、これで最後なのだ。
おとなしくしていよう。
――そう考えていたが、また来るのが遅い。
前のと同じで 部位が決まっているのか死ぬのが遅いのか。
もうここまで来ると もはやどちらでも良い。
早く終わりたい。
そんな私の願いを聞くように、ポンッと料理が現れた。
見た目は……そうだな。
美味しそうだ。
赤いアイスに海ぶどうを乗っけたようだ。
そして、チョコソースのようなものが星形を描いてかかっている。
前例がなければ笑顔で食べていただろう。
しかし、1品目のトラウマが頭をよぎる。
よぎりまくっている。反復横跳びでもやってんのかってぐらい よぎりまくっている。
『……これで最後だから。』
あんまり長く放置していると また手が動く。
それに最後の品だから、という事で私はスプーンを持った。
『…………？』
……なんだ。
ついに舌が狂ったのか？
そう思い、もう1回アイスを口に運ぶ。
『――……美味い…………』
どういう事だ。
ありえないだろ。
なんでこれだけ美味いのだ。
肉の味は確かにするが、海ぶどうと食べると塩味が効いていてとても美味しい。
チョコソースも〈生ハムメロン〉的なあれで 絶妙にマッチしている。
要するに美味しい。いや、かなり美味しい。
『……』
手が止まらない。
が、これは私の意志だ。
私が自ら〈これ〉を食べている。
なのになぜだ。
鳥肌と涙が止まらない。
気がつけば、皿の上にはなにも残っていなかった。
『……ご馳走様でした』
心の底から出たのは その言葉だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
森(プロフ) - 推しの命は私の命さん» 本当に細かいところまで閲覧されてますね！？ 嬉しいですッ！まだまだ隠し要素あるのでぜひ探してみてください！笑 こちらこそグラッツェです！！ (10月22日 23時) (
レス) id: 3d0e2fd390 (このIDを非表示/違反報告)
推しの命は私の命 - お、恐ろしすぎる…細かく見たらアヴドゥルや花京院の服が入ってたり、ポルちゃんのメニューに一部欠損有りって書かれてたり…他にもイギーの砂とか、承太郎の死んだ場所（オーシャン、海）とか…もう夜寝れません…。でも好きです。素敵な作品グラッツェ (10月22日 21時) (レス) @page7 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
森(プロフ) - ゆっくりさん» たまにはこういうのも書きたかったんですよね笑 ゆっくりさんは「引力」を信じるか？ グラッツェです！！ (9月18日 17時) (レス) id: 3d0e2fd390 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり - えっえぇぇ…こんなに怖くてぐろなのにどうしてこんな見ちゃうのか… いつもおふざけしてる（失礼）方のはずなのに…でもどんな話でも引き込まれるのは森さんって感じがしますッ これからも応援してます！ (9月18日 13時) (レス) id: dfbd8ef158 (このIDを非表示/違反報告)
森(プロフ) - さくらさん» リアルで食っちゃった感じです笑 「生きて腸まで届く」という意味では生きてるんじゃあないですかね…（？） コメントディ・モールトグラッツェ！！ (8月31日 0時) (レス) id: 3d0e2fd390 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：森 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/morisann1/
作成日時：2023年8月25日 3時
