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【 御幸視点 】
ある日の練習終わり、
いつものように自主練を終えて
寮の部屋に戻る途中だった。
寮の裏に小さな広場があるのだが、
そこで素振りをする部員は多い。
時刻は夜9時前。
にも関わらず物音がするので、
なんとなくその場所をのぞいてみた。
「…哲さん?」
「ん?御幸か。自主練してたのか?」
そこにいたのは汗だくの哲さん。
バットを持っていることから、
素振りをしていたんだということがわかる。
「はい。ちょっとだけですけど」
「そうか。暇なら素振りに付き合ってくれないか?」
「もちろんです」
その場にあった金属バットを手に取り、
哲さんの横に並んで素振りを始める。
「…御幸」
しばらくお互い無言で振っていると、
突然手を止めた哲さんが話しかけてきた。
「なんすか?」
「お前、最近マネージャーとよく絡むらしいじゃないか」
「あ〜…Aちゃ…Aさんっすか?まあ、ちょっとした知り合いで」
「ちょっとした、にしては随分と好意むき出しな絡み方をしているな」
素振りを続ける俺をジッと見ながら
淡々と喋る哲さんに思わず自分も手を止める。
「…Aさん、なんか言ってました?」
「いや?特に何も聞いていないが」
少し心配になる俺をからかうかのように微笑む哲さん。
その態度に、なぜかちょっとだけムッとしてしまう俺がいた。
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作者名:志季 | 作成日時:2018年12月2日 0時