【◇】年下の男の子 (ページ12)

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「あははは！なにその顔！

…綺麗なだけなら、そのまま俺も
忘れてたかもしんない。
でも、今そうじゃないってわかったから」

ニヤリと挑発するような笑みを浮かべた一也は、
私の手を取りぎゅっと両手で握りしめる。

「俺、お姉さんのこと好きだよ」

チリン、となぜか鈴の音がした。

人生の大切な場面では、
鳴るはずのない音が合図として鳴る、
という神話を昔誰かから聞いたのを思い出した。

「…え？」

「面白いし」

「ちょ」

「優しいし」

「あの」

「綺麗だし」

「か、かず」

「胸も大きすぎず、小さすぎず」

「おい」
「ごめん冗談」

「とにかく、俺はお姉さんが好き」と
さらっと言ってのける一也は
かわいい顔して相当なチャラ男だ。

「今はまだ、俺小せぇし、
恋愛対象に入んないかもしれないけど…
時間かけてでも、振り向いてもらえるように
頑張るから。いや、振り向かせるから」

＂待っててよ？＂

ちゅ、と握っていた手の甲に唇を落とす一也。

こんなことされた経験すらない私は、
たちまち真っ赤になってしまって。

「あーらら真っ赤だ！さっきまで俺のこと
年下だと思って舐めてたくせに」

「こ、これは違…！」

「そーやって照れて顔隠すとこもかわいい」

「やめて！」

天使のようなその顔とは反対の意地悪な言動に

不覚にもときめいてしまったんだ。

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