2 ページ24
レギュラスは立ち上がり、ぱんぱん、とローブを払って音楽室から出て言った。俺の方にはすやすやと眠るAの頭の重みがあって、そのおかげで地に足つけていられる気がした。
しばらくして、Aが身じろぎをして目を覚ました。Aがレギュラスは、とつぶやくので、帰った、とだけ伝えた。寝起きだからなのか、彼女は静かだった。いつもなら満面の笑みを浮かべている彼女は、何の感情ものっていない真顔だ。
「…レギュラス、いい子だね」
「…自慢の弟なんだ。俺なんかよりよっぽど優秀で、できた息子だ」
Aは、さみしいんだね、とつぶやいた。やっぱりいつもと雰囲気が違うAを前にすると調子が狂う。つい、何を言えばいいのかわからなくなって口を閉ざした。
「私がシリウスの話をすれば、興味ない風を装って熱心に聞いてた。それがかわいくて私もつい、話をしちゃうの」
変なことは言うなよ、とAに言えば、はは、と乾いた笑い声が耳に入る。どうやら相当参っているようだ。そんなへたくそな笑顔を作るくらいなら笑わなければいいのに、と思うほどひどい笑顔だ。
「なにかあったのか」
「ううん。疲れただけ」
「…疲れたら休むんだよ。笑顔のA・オルロックはお休みでいいだろ」
Aはちいさく、うん、とつぶやいた。そして、俺はまたAの頭を自身の肩に乗せた。俺は、聞き流してくれ、と前置きをしてつまらない話を始めることにした。
「レギュを助けてやりたい」
俺が言葉を発した瞬間にAはがばり、と顔を上げて目を見開いている。笑顔のAが休憩している間のほんの独り言を始めようと思ったのに、どうやら逆効果だったようだ。
「…どうして、純血主義ってあるんだろうね」
Aがつぶやく。俺もあまり考えたことがない。確かにあいつらは、いったい純血を守ることでどんな利点を見出しているのだろう。彼らは一体何を怯えているのだろうか。
どうやら俺には知らなければならないことがたくさんあるようだ。そうとなればすぐにでも調べたい、俺はAの顔を伺えば、誕生日に見た慈愛に満ちた笑顔を浮かべて俺を見ていた。俺は一瞬息をするのを忘れて固まる。気が付けばAはいつもの明るい笑顔に戻っていて、俺の手を引いて歩き出した。
「わからないことは調べるに限るよね！」
目を細めて笑うAにつられて、俺の口角も上がった。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» ありがとうございます！長い作品ですが、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年1月27日 13時) (
レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - キメラ想像したらめっちゃ笑いましたwwまだ読んでいる途中ですが続きが気になって黙々と読んでいます。更新お疲れ様です、応援してます！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» つなぎ目だらけで舌を出すキメラを生み出してしまいました…wご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - フランケン・アインシュタインはおもろすぎるｗアインシュタインとフランケンシュタインは別物ですよ〜 (2023年1月25日 10時) (レス) @page8 id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - みーやんさん» ご指摘ありがとうございます！見当たる限り修正しました、ご迷惑おかけします。読んで下さりありがとうございました、これからもよろしくお願いします (2022年12月13日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アネモネ | 作成日時：2022年11月26日 20時
