射貫く眼差し ページ42
(足りてよかった〜...)
随分軽くなったモラ入れを内ポケットにしまう。
暫くは節約生活になるだろうな...
「別に無理して払わなくても俺が出したのに」
『あんたに貸しを作るのはなんだか癪だったんだ』
と、強がっては見るが実際かなりへこんでいる。折角頑張って仕事をこなして貯めたお金がただ一回の食事で消し飛ぶなんて思っても見なかった。
鍾離さんはというと、普通に公子に払ってもらっていたらしい。
どうやらあの人は金に無頓着なようで、自分が貧乏になった姿を想像できないのが根底にあると言う。
公子がいなかったら生きていけないんじゃないかと、ふと心配になった。
「そう言えば君、今日はどうするんだい? 野宿?」
『いや、今日は往生堂にお邪魔させてもらえるらしい』
と、そんな話をしているとコツコツと後ろから足音が近づいてくるのが聞こえた。
「往生堂に戻ろう。夜冷えしてはまずい」
「は__、嗚呼」
一瞬はいと敬語を使いそうになったのを抑え込んだ。
「待ってよ」
僕の腕が捕まれる。
そのままグイッと引き寄せられて、一言。「明日黄金屋で待ってる」と僕に言い残した。
『? わ、わかった』
「...じゃあね」
それだけ言い残すと僕と鍾離さんに手を振りながら帰っていった。
「何を言われたんだ?」
『いや、大したことは...』
なんなんだろうあの人は、と改めて感じさせられた。
〜〜〜〜〜
(黄金屋ってのはこれか)
件の黄金屋は璃月港から少しはずれた場所に佇んでいた。
その大きく重い扉を押し開ける。
「あ! やっと来た。待ちくたびれたよ」
と、大きな空間の真ん中に座り込んでいる彼。
『何の用?』
「君が過去、俺に話してくれたことを教えてあげようと思って」
『! 本当?』
「嗚呼、本当だ。ただ一つ条件があって」
ヒュンっ、と僕の横を矢が掠める。
「_____俺と戦ってよ」
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ぽんぴー - 数少ない原神BLありがたやありがたや。。そして面白いです。更新がんばってください!!!!! (2022年7月27日 2時) (レス) @page14 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎのくろた | 作成日時:2022年7月26日 0時