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倉持side
あの後、もう遅いからと言うことで、成瀬を送ることになった俺。あれから一度も喋ることのない成瀬に俺はなんと言ったらいいのか分からなくて。
黙ったまま、家に着いてしまった。
倉 「大丈夫か？亮介さんも怒ったわけじゃねぇから、気にすん…「私、私…。」
取り繕うようにペラペラと俺が喋っていれば成瀬はそれを遮って声をあげた。
顔は俯いていて表情は見えない。でも肩を震わせている。
「私…怪我が怖いの…。」
声までも震わせて成瀬はそう告げた。正直俺は成瀬には怖いものがないと思っていたし、2年付き合ってきてさっきみたいに取り乱したのは初めて見たのもあって驚いていた。
怪我の手当てだって、怖い、らしい態度を見せたことがなかったし。
「む、かし…御幸が怪我をしたことがあったんだけど…」
そこまで言うと成瀬は少し言葉を詰まらせた。泣いているのだろうかと思ったが、そうではないみたいだった。
先ほどより顔が上がっている成瀬の表情は今はしっかりと見える。
風に髪が揺らされるのも気にせず成瀬は悲しそうに微笑んでいた。
「私、気づけなくて。同じチームメイトだったのに。これっぽっちも気づかなくて。大きな大会があってね？御幸はそれにキャッチャーとして出てた。私もその試合には出てたんだけど、その日、怪我をしていながらも御幸はしっかり自分の役割をこなしてた。
誰にも気づかれずにね、ほんとに。
気づいたのは試合が終わって御幸がぶっ倒れた時だった。」
成瀬はスカートをぎゅっと掴んで、続けた。
「私、自分を責めた。どうして気づけなかったんだろうって。御幸のことなら、きっと…。幼馴染で、ずっと一緒で。前の日だって一緒にお布団に入って…頑張ろうねって言い合ってた…。そ、れなのに…。
…気づけなかった。」
強くあの頃の自分を許せないと言うように成瀬は告げた。ぎゅっと掴んでいたスカートがしわくちゃになっていたのがその証だった。
「だから！それからはちゃんと見て、気づいて、手当して！そうだから！手当の練習もして、どんな症状がいけないとか、どんなことをしたら緩和されるのかとか学んで！それで…。」
成瀬は強く唇を噛んだ。
ああ、そうかこいつは…。
俺は痛いほどに気持ちがわかった。普段人をよく見ているからこそこいつの気持ちがわかる。
また俯いてしまった成瀬を俺はらしくもなく抱きしめた。
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あーちゃん(プロフ) - 105話、成瀬が倒れた(？)過程がないので、ちょっと分かりにくいです(・・;) (2023年1月20日 23時) (
レス) @page44 id: 5c50c73791 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 続編おめでとうございます！これからも見ます。頑張ってください！ (2019年7月7日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 今回も面白かったです！御幸と主人公ちゃん、いつかくっついてほしいですねぇ…これからも頑張ってください！ (2019年7月5日 21時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ありがとうございます！返信ゆっくりですが、是非続けてみてくださると嬉しいです！ (2019年6月29日 20時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲 | 作成日時：2016年9月16日 17時
