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「あー、やっぱり夜は冷え込む
夏とは言え、半袖で夜はまだ寒い。今日は少しマネの仕事で遅くなってまだグラウンドに残っていた。
「…飲み物買いに行こっかな…。」
ひとりごとは夏の夜空に消えるー。なんてらしくもない気持ち悪いことを思いながら自嘲気味に笑って、少し駆け足で寮まで向かった。
ここからなら寮の方が近い。
誰かと会うかなー、なんて考えながら自動販売機に向かえば二つの人影。
ーあ、やっぱまだこの時間ならみんな練習してるか…ー
まあ、単純に驚きもせず、近づこうとすれば誰だかわかる人影。
ー倉持と…亮介…さん?ー
なんかごちゃごちゃ言ってて分からないけど、遊びでない雰囲気だけは分かる。
もう少しだけ話の内容がわかるくらいまで声が聞こえるように近づく。
亮 「大丈夫だよ。試合になったらアドレナリン出まくるし。これくらいのケガはみんなだって隠してる。」
ーえ…怪我…?ー
亮介さんの言葉に一瞬固まる。
え、いつ?前の試合…?あのクロスプレー?なんで私…
キヅカナカッタノ?
どくんと心臓が嫌な音を立てた。少し息苦しくなって思わず「亮介さん!」と叫んで2人の前に出てしまっていた。
「りょ、亮介さん…怪我って…。」
見たこともない私の顔に倉持も亮介さんも私がいたことよりもそっちに驚いている。
亮 「成瀬…」
「て、手当!手当てしましょう!お、遅くなったらもっと酷いことになるし!」
亮 「成瀬、俺は自分で 「監督にも言って、次のしあ 亮 「成瀬!」
自分もわかるくらいビクついて肩を震わせてしまった。どうやら慌てていたのは自分だけみたいで。倉持も私の肩を持って落ち着かせようとしている。
「ご、ごめんなさい…。」
小さく呟くと亮介さんはゆっくり私に近づく。ポンと頭を撫でると「大丈夫だから。」と落ち着いて言う。
亮 「成瀬、俺は大丈夫だから。お前が抱えているものは何か知らないけど俺は大丈夫だから。落ち着け。でもこのことは内緒にしててくれ。」
「最後かもしれないんだ。」空を見上げながら亮介さんは呟いた。私はその横顔に止めることはできないんだと悟る。
「いい?」と最後に尋ねた亮介さんに静かに頷くことしかできなかった。
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あーちゃん(プロフ) - 105話、成瀬が倒れた(?)過程がないので、ちょっと分かりにくいです(・・;) (2023年1月20日 23時) (レス) @page44 id: 5c50c73791 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 続編おめでとうございます!これからも見ます。頑張ってください! (2019年7月7日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 今回も面白かったです!御幸と主人公ちゃん、いつかくっついてほしいですねぇ…これからも頑張ってください! (2019年7月5日 21時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ありがとうございます!返信ゆっくりですが、是非続けてみてくださると嬉しいです! (2019年6月29日 20時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2016年9月16日 17時