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109. ページ48

「成瀬。」

振り返れば汗ダクダクの倉持が「タオルくれ。」と左手を差し出していた。

あの自分の気持ちに気がついてしまってから私は今までの動揺が嘘のように冷静だった。

あの日は本当にどうしようかと思った。もういっそ転校でもしてしまおうかとも考えた。だけれども、私は一番楽な方法に気がついてしまったのだ。

御幸のことが好きなことは自分だけの中に秘め、幼馴染だと暗示をかけるのだ。そう、今まで通りにすればなんだって問題はないのだ。

誰かに言ってしまえば、それはただの逃げだと言われるだろうが、この気持ちは私だけのもので。

もうなんだっていいから忘れることはできなくても知らないふりをすることはまだできるはずだ。

そしていつかきっと御幸に好きな人ができたら、忘れられるだろう、時間が解決してくれる。

でもここで私はひとつだけつぶせない可能性を潰している。御幸が私を好きだった場合だ。

御幸が私を好きだった場合。それはもう限りなくゼロに近いだろうが、あのキスと宣言から0.1パーセントくらいの可能性はある。

だけれどもこれはもうなかったことにするのだ。それで全てが解決する。私と御幸は私の宣言通りいつまでたっても幼馴染だ。

「はい。」と倉持にタオルを渡せば「さんきゅ。」とダラダラの汗を爽やかにふいていく。後ろに立っていた御幸にも「タオルいる?」と聞けば少し驚いた顔をした。

「…なに?」
「いや…最近避けられてると思ってたからさ。」

「ははっ。」と笑った御幸に私も笑い返して「なんで?私たち幼馴染でしょ?喧嘩してもすぐ仲直りよ。」と告げた。

御幸は少し怪訝そうな顔をしたけど「そうか。」としか言わなかった。

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也 , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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あーちゃん(プロフ) - 105話、成瀬が倒れた(?)過程がないので、ちょっと分かりにくいです(・・;) (2023年1月20日 23時) (レス) @page44 id: 5c50c73791 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 続編おめでとうございます!これからも見ます。頑張ってください! (2019年7月7日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 今回も面白かったです!御幸と主人公ちゃん、いつかくっついてほしいですねぇ…これからも頑張ってください! (2019年7月5日 21時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ありがとうございます!返信ゆっくりですが、是非続けてみてくださると嬉しいです! (2019年6月29日 20時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年9月16日 17時

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