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108. ページ47

結局、先輩なめんなよ‼といういかにも純さんらしい言葉を残してOB試合は一点先輩勝ち越しで終わった。

今日のスコアブックをゆっくりと部室でつける。

鉛筆は歴代ずっと部室に置かれているものでだいぶん古い。柄の方には誰が削ったのか好き嫌い好き嫌いと続けて書いてある。

何も考えず、コロコロと気になった鉛筆をまわしてみる。机の上を歯切れ悪く転がる鉛筆は嫌い、で止まった。


『俺、お前のこと幼馴染と思ったこと一度もない。』


ふと御幸の言葉を思い出してしまう。あれはやっぱり拒絶だったのだろうか。だかそれならあのキスはー?

御幸のことがわからない。

こんなこと生まれて御幸に出会って初めてかもしれない。御幸は他の人にはわかりづらいとよく言われていたが、私にはなんとなく何を考えているのか分かっていた。

もちろんそれが間違っていなかったことも後々理解できた。

なのに。

それとももしかして、ずっと自意識過剰だったのだろうか。御幸のことなんて何一つ分かっていなかったのか。

「分からない…。」

もう一度鉛筆をコロコロと転がした。また、嫌いという文字を示した。なんだか理解ができていない自分が嫌いだと示しているようで笑えてきた。

「もーいっかい。」

次はこれだ、と冗談めいて思いながらまわしたそれは私の胸をドクンとうった。鉛筆の文字は、好き。

「…そんなわけない。もーいっかい。」

コロコロと転がる鉛筆は何度まわしたって好き、という文字を示す。半端やけくそになって投げてみても示した文字は好き。

死ぬ間際でもないのに走馬灯のように記憶が自分の頭を巡る。そして心臓は先程よりもうってかわって早く動き始めた。

そんなことない、そんなことないと思えば思うほどきゅっと旨が締め付けられる。

床に落ちた鉛筆を拾い上げてゴミ箱に捨てた。そして多分、この想いも気づいてはいけなかった。今すぐゴミ箱に捨てなければ。

だって、だって、そうじゃないとー


『御幸は、幼馴染でしょうー?』

重く罪のように私にその言葉はのしかかる。そう、あの言葉こそ御幸にとって自分にとっても拒絶だったのだ。

もう取り消せない。あの言葉も、この想いも。

それなら、何も知らなかったふりをするしかない。

好きなんて、知らない。知らなかったんだ。本当にずっと幼馴染だと思ってたの。嘘じゃない?私が、私が…


御幸のことを好きなんて。

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也 , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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あーちゃん(プロフ) - 105話、成瀬が倒れた(?)過程がないので、ちょっと分かりにくいです(・・;) (2023年1月20日 23時) (レス) @page44 id: 5c50c73791 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 続編おめでとうございます!これからも見ます。頑張ってください! (2019年7月7日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 今回も面白かったです!御幸と主人公ちゃん、いつかくっついてほしいですねぇ…これからも頑張ってください! (2019年7月5日 21時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ありがとうございます!返信ゆっくりですが、是非続けてみてくださると嬉しいです! (2019年6月29日 20時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年9月16日 17時

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