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「幼馴染と思ったこと一度もない…か…。」
真っ直ぐに強く手を握って言った御幸の言葉はがぁんとAの頭を殴った。衝撃的だったと言えば衝撃的だった。だけれども妙に納得しているような自分もいて。
でも幼馴染でないなら、一体自分たちの関係はなんなのだろう、とAは頭を抱えた。
そもそも、自分たちの関係に名前をつけること自体、間違っているのかもしれない。だけれども、名前がないと不安な気持ちもある。
「怒ってるのかな、逃げたこと。それとも…」
ー私のことが好きなんだろうかー
いやいや、と首を振る。十数年間いっしょに過ごしてきた御幸のことならなんでも分かっている…はずだ。御幸は言いたいことははっきり言う。今更Aのことが好きだなんて。
きっとあの時のキスは御幸が情緒不安定だったからに違いない。そうでなければ御幸が自分にあんなことするはずがない。
そう、言い聞かせたいのかもしれない。
そんな考えが浮かんできてはまた首をブンブンと振る。そんなわけないのだから。でも、あの時キスされて嫌じゃなかったのは何故ー
幼馴染だから?
でもそれは成瀬が勝手に思っていることで。御幸にははっきりと言われてしまったんだから。幼馴染じゃないと。
「友達って…どういう感じなんだっけ」
成瀬の数少ない同学年の友達はノリに倉持に…ノリに…。全く浮かんでこないが、あの2人は純粋に友達だと言える、と思う。
倉持には憎まれ口をたたいていればそれで十分だし、ノリはふつうに…
「普通ってなんだっけ…。」
負のスパイラルに陥った成瀬の思考はもうこれ以上はパンクしそうだった。到着点もない、真っ暗な道をただひたすら歩いているような気分だった。
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あーちゃん(プロフ) - 105話、成瀬が倒れた(?)過程がないので、ちょっと分かりにくいです(・・;) (2023年1月20日 23時) (レス) @page44 id: 5c50c73791 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 続編おめでとうございます!これからも見ます。頑張ってください! (2019年7月7日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 今回も面白かったです!御幸と主人公ちゃん、いつかくっついてほしいですねぇ…これからも頑張ってください! (2019年7月5日 21時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ありがとうございます!返信ゆっくりですが、是非続けてみてくださると嬉しいです! (2019年6月29日 20時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2016年9月16日 17時