番外編2. ページ13
「…出たくない。」
御 「なに言ってんだよ、帰れないだろ。」
買い出しが終わり、袋を持ちながら店の中のドアの前で子供のように駄々をこねる私。寒くて仕方がない。
「いっそこのままここにいられたら…。」
御 「なに言ってんだ、行くぞ。」
私の手をパッととると、ぐいと引いて私と御幸は一緒に店の外に出る。外はまたちらちらと雪が降り始めていた。
「…御幸。」
御 「んー?」
引かれている手を見つめながら私はこの角度からは見えない御幸の顔を想像しながら「手、もういいでしょ?」と告げた。
御 「…手、寒いんだろ?」
「赤くなってるし。」と私の手を指差しながら御幸は繋いだ手を離そうとはしない。
私もそれ以上はなんだかなにも言うことができなくて、結局手は離せずに。寮の前まで来てしまった。
「…もういいでしょ。」
御 「なんだ?照れてんのかー?ちっちゃい頃はお前から繋ぐ繋ぐ言ってたくせしてよ。」
「そんな昔のこともう忘れた…。」
呟くように俯いていれば、「なははっ、そうかよ。」と言って笑う御幸。今度はちゃんと横顔が見える。
御 「じゃ、名残惜しいけど。」
そう言うといともあっさり手を離してしまった。するりと抜けた私の左手は先程とは打って変わって冷たい風が当たる。
なぜか離れた左手に寂しさを感じながら、前を歩く御幸を見つめる。いつかあの隣を歩くのはきっと私じゃない。
分かっていることなのに、別に御幸のことなんて幼馴染としか思ってないのに、妙に悲しくなって。見える背中を追いかけることもできない。
「いつか、御幸に好きな人ができたら…」
ー私は、幼馴染としていれた御幸の隣を譲らなきゃ…ー
でも、それまでは。
どうかそれまでは。
後ろを振り向いて「A?」と首をかしげる彼の隣にいさせて。
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あーちゃん(プロフ) - 105話、成瀬が倒れた(?)過程がないので、ちょっと分かりにくいです(・・;) (2023年1月20日 23時) (レス) @page44 id: 5c50c73791 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 続編おめでとうございます!これからも見ます。頑張ってください! (2019年7月7日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 咲さん» 今回も面白かったです!御幸と主人公ちゃん、いつかくっついてほしいですねぇ…これからも頑張ってください! (2019年7月5日 21時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ありがとうございます!返信ゆっくりですが、是非続けてみてくださると嬉しいです! (2019年6月29日 20時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2016年9月16日 17時