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そもそも俺たちが仲良くなったのなんて、つい最近のことである。であったのは1年ほど前だが、最近まではほんの少し、会話を交わす程度であった。

それに俺にはなんちゃ彼女もいたし、こいつもかわいかったからいろんな出会いがあっただろう。年だって、そんなに離れているわけでもないが、「ついていく。」と断言できないほどにはこいつはまだ、こちらでやるべきことある。

「...じゃあ、やめとく...?」

マフラーの下からつぶやくようにそいつは言った。立場上的にはこいつが告白してきて、俺が降った形になる。だが、そっと見るそいつの横顔からは、涙一つこぼれない。

はあー、と長くため息をついたそいつに俺は「ごめん。」と一つ言葉をこぼしていた。謝るべきだはなかったのかもしれない。

「大丈夫ですよ。」

ミディアムの髪を揺らしながら彼女は笑った。俺は柄にもなく「泣いてもいいよ。」なんて言ってしまったけれども、そういえば俺はこいつの涙を見たことがない。

銀 「お前かわいいから、大丈夫、強く生きろ。」

「なんですかそれ。」

逆にてんぱってしまっている俺に笑い続ける。しまいには「告白したの銀さんが初めてなんですからね。」なんて爆弾発言を落としだした。

銀 「は?まじで?」

「はい、まじですよ。」

ふふっと笑った彼女に俺はぎゅっと胸が締め付けられた。これがときめいたのか、それとも苦しさからきているのかさえもうわからなかった。

銀 「そろそろ、行くか…。」

座っていたベンチから立ち上がり、まだ名残惜しそうなそいつを言葉と一緒に立ち上がらせた。少し歩き出したそいつの手を俺はそっと握る。

「うわぁ…ずる…。」

またしてもマフラーに顔を埋めてそう呟いたそいつ。ずるいずるいとあまりにも言い続けるから、「じゃあ、やめる。」と離すと「やだ。」と本音を漏らした。

彼女の目からは涙が溢れていた。

「とまればいいのに。」

溢れ出した涙は止まらないのか、それでも笑おうとしながら彼女はヘンテコな顔になりながら呟いた。

「時間…とまればいいのに…。」

切実な願いに俺も今度は苦しさからくる心臓を握られるぎゅっとした切なさを感じた。好きな子を振るなんてどうかしているとさえ思ってきた。いや、実際どうかしているのだろう。

銀 「また、帰ってくるから…。」

俺も溢れ出しそうな涙をこらえながら、マフラーに隠れたそいつの唇に強引に重ねた。

そいつとの初めてのキスは本当に酸っぱいものだった。

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作者名: | 作成日時:2017年1月16日 1時

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