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一体彼女はどこから来たのか、まったくに何も分からないまま、三ヶ月が過ぎた。大分、落ち着き、暴れなくはなったが、眠れないのは変わらないようだった。

ただ、彼女は眠れないというよりも、寝ない、というような感じだった。うとうとしながらも、寝そうになると何かを思い出してはハッとして、眠らないようにしていた。


沖 「A。」

名前がないというのはあまり大袈裟にはしたくなかったらしいし、俺たちも呼び名がないというのは困ったもんだったため、名前をもらった。神社のハゲた坊主に。

名前をもらった時、彼女はあまり嬉しそうな顔はしなかったが、俺たちが名前を呼ぶようになると、時折、嬉しそうに笑顔を見せた。

「沖田さん、見回り終わったんですか?」

洗濯物越しに名前を呼んだ俺を見つめながら、彼女は笑った。真選組においてもらう代わりに女中の仕事をこなしているのだ。

笑った顔には、不釣り合いな大きなクマ。寝ていないのだから当たり前なのだが。

沖 「眠れねぇのか?」

俺は三ヶ月間、触れてはいけないと思っていた話題にしびれを切らして、彼女にそう尋ねた。彼女は一瞬びっくりした顔をしたが、ああ、そうか、と納得した顔をした。

「こんなクマあったら、ねれてないことくらい分かりますよね。三ヶ月間、気を使ってくれていたんですよね?」

「すみません。」と俯いて自嘲気味に微笑んだ彼女はどうやら俺の質問には気を悪くしなかったらしい。むしろ、積極的に話を始めた。

今までの三ヶ月間の謎がスルスルととけていくように。

「私…生まれは小さな村なんですけど、双子だったんです。」

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作者名: | 作成日時:2017年1月16日 1時

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