【銀魂】一樹之陰【短編集】 (ページ20)

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約束【沖田総悟】1 ページ20

沖田side

「大丈夫…ちょっとよろけただけ…。」

ははっと笑いながら隊士たちに手を借りながら立ち上がる女は俺の幼馴染だ。

沖「相変わらず貧弱なやつでぃ。」

隊「お、沖田隊長！」

「ああ、大丈夫、大丈夫、いいのいいの…。」

俺の言葉に噛み付く隊士を優しくなだめながら「ごめんね、総悟。」と謝るそいつ。俺は顔には出さないものの、内心イライラはする。

「また、遅れちゃうね。」

沖「そう思ってんだったらもっと早く歩きなせぇ。」

「遅い。」と最後に一言告げたのち、そいつに背中を向けて俺はスタスタと歩を進めた。そいつがどんな顔をしていたかなんて知るはずもない。

「土方さん、この資料はどちらに直しときますか？」

食堂でカレーにたっぷりとマヨネーズをかける土方さんに分厚い資料を持ち上げながらたずねるそいつ。

土「ああ、そりゃ外の資料室だ。後で俺が片付けといてやっからそこに置いとけ。」

「でも、私の仕事ですし…。」

困ったように笑いながら「やっときます。」というそいつに相変わらず土方さんは「置いとけ。」と言い張る。

沖「やらせりゃいいじゃねぇですかぃ。そいつがやるって言ってんですから。だいたい、こんな時間までかかってそんなことやってんのはそいつがとろいからでしょう？」

カレーをすくいながらそいつをみることもなく俺は正論を投げかけた。18にもなって自分の仕事すら時間通りにまともにできないそいつ。

いつになったら大人になるのか。

「うん、その通りだよ、総悟。土方さん、私ちゃんとやっとくので大丈夫ですよ。」

ニコリと笑いながら「じゃあ。」と重い資料を持ちながら歩いていくそいつを俺は見向きもしない。

土「なんでてめーは昔からそうなんだよ。」

呆れながら俺にそう告げる土方さんに「別に。」と一言だけ返せば、もう聞いても無駄だと思ったのかなにも言わずカレーに手をつけ始めた。

その日、あいつが夜ご飯を食べ始めていたのは隊士たちが寝静まる頃だった。