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6.小さいものでも役に立つ ページ8

「ほう…?」
「だから今はまだ、真選組の誰について行くべきかは決めきれない。ただ、松平は近藤局長
の指示に従えと言っていたから今は近藤局長に従う。」

Aはひとつの迷いもなくそう伊藤に告げた。伊藤はニヤリと笑った。その笑みがAは純粋に汚れていると感じた。

「では、とりあえずは今日の夜、江戸から旅立つ。君もついて来るね?」
「私は少し用がある。真選組のある人から頼まれた用だ。だから後から追いつこう。」

「そうか。」と伊藤は呟くと満足したのか、Aに背中を向けて、歩き出した。Aは伊藤が角から消えて見えなくなるまでその、暗い背中を見つめていた。

ぎゅっと刀を握ると、自室へと足早に向かった。


自室は土方の部屋の隣に用意されていたところだった。たいして他の隊士たちと部屋の感じは変わらないが、Aの部屋には寂しく小さなテーブルがひとつと、小さな棚があるだけだった。

真選組へ来た時は、何も持っていなくて、それこそ、ガランとした部屋だった。布団を押入れに直して仕舞えば本当に何も置かれていないただの畳の部屋だった。

しかし、それを見かねた近藤が松平へ伝えたのか、松平は小さな机と、小さな棚をよこして来た。

それこそ初めはAもいらないと言い張ったものだが、結局仕事をする上で机は必要だし、貴重品を管理するために棚は必要になった。

だからAはしぶしぶ折れて、その小さな机と小さな棚をもらった。1週間と少しほどしか経っていないが、十分にもう役目は果たしてくれていた。

小さな棚の2番目の引き出しを開けて、Aは何やら取り出し、それを首にかけた。他の人からは見えないように隊服の中にそれはしまった。

あとは1番上の引き出しから、今まで貯めてきたお金を取り出した。なんでも、万事屋というところはお金を払えばなんでもやってくれるところだと聞いたからだった。

大事にむねポケットにお金をしまうと、Aは先ほどよりずっと暗くなった街を走り出した。もちろん目指すは万事屋。

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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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