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足裏に黒松のひんやりとした感触が伝わる。足袋越しでもこれほど冷たいと思うのだから、裸足で歩けばよほどのものだろう。
前にいた召使がこちらに振り返り、「今夜はここのお部屋になります」と言って深々と頭を下げた。召使たちは付き添いが終わると踵を返し、また静かに歩いて行った。その後ろ姿には、汗が噴き出すような熱気を感じた。
――ありがとう。
その言葉が、喉を通らなかった。
あの子達は、母親を亡くし、父親が出稼ぎにいったまま帰ってこず、止む負えなく働かなくてはいけなくなった子達だろう。うなじから幼さが垣間見える。
普段は掃除や洗濯に追われ、そして休む間もなく忙しい厨房に借り出される。
急遽、元々予定になかった私を父上のいるこの部屋まで誘導する仕事まで任されたのだ。私が相手の仕事では、息が詰まるほど苦しかっただろう。下手出来ないのだ。
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征我(プロフ) - この小説の背景画像が・・・欲しい!けどやり方分からない・・・ (2017年2月17日 17時) (レス) id: a30172f436 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - アイアン・メイデンさん» まだまだ未熟者ですが、誉めてもらえると自信がつきますね! ありがとうございます(*^^*) (2016年1月28日 22時) (レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
アイアン・メイデン(プロフ) - コメント失礼します。作者様の文章能力の高さにすごく驚きました!自分なんて、まだまだだなぁ、としみじみ感じました。情景がすごく綺麗に書かれていて、心惹かれる様に感じました! (2016年1月28日 21時) (レス) id: 599729810b (このIDを非表示/違反報告)
月影櫻詠(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» そりゃないぜハジェンス (2014年12月30日 12時) (レス) id: a24476e1ca (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 月影櫻詠さん» ゆーあーくれいじー (2014年12月29日 23時) (レス) id: fc7cab67c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年6月12日 22時