CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ41)

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「「「じゃんけん、ポン」」」

うわー！という分かりやすい絶叫。彼らから少し遠いところに座ってその様子を見ていたが、結局口論の末じゃんけんで勝負が決まったらしい。その争った原因はというと。

「じゃあ今日は俺とAちゃんでお留守番な！」

そう、留守番。
留守番というか、私を外に出さない為のお目付け役が必要という話だ。そんな裏事情を読み取らずに、じゃんけんでお留守番の権利を勝ち取った坂田さんはルンルンといった様子で。

その彼の後ろでまだ話し合いが繰り広げられているということは、まだ今日の役割分担が決まっていなかったのだろう。…そう、今日の役割分担。

何故か私の周りに居たり、接触することで彼らの夢魔としてのエネルギー源となることが発覚したものの。それがまだハッキリとどの程度の効果があるのかは不明であるため、以前と変わらず彼らは街に出てお手製のお菓子をばら撒くのである。

「じゃあ今日は俺とセンラが撒いて、まーしぃが粗悪品の回収係な」

散り散りになった彼らから各々返事が飛ぶ。そう、粗悪品の回収。彼らはなるべく例の粗悪品で人間に害が及ばないように、担当を決めてそれの回収に努めているらしかった。

回収したその粗悪品を使用して犯人捜しをしているから、という側面もあるが。

護身用の武器を身に着け終わったその姿は、初めて会った際と同じ姿だった。あの日の恐怖は身に染みていた、そのつもりだったが。こうも可笑しな調子の日々を過ごしていると、彼らが私を拉致した張本人達だと頭から抜け落ちることがある。

「Aさん、冷蔵庫にフルーツ切ったの入れてあるんで、お腹すいたら食べてくださいね」
「……、ありがとうございます」

相変わらず彼は世話焼きだ。隣で坂田さんが「俺も食べていい？」と聞いたら「あかん」と返したところも含めて、若干この光景に慣れつつある。まあ、どうせセンラさんに内緒で彼は食べるんだろうけど。

その後、若干惜しまれつつも志麻さんに引き摺られて彼は外出して行った。…初めにうらたさんが引っ張ろうとしたが、びくともしなかったのは内緒である。

「…なんでアイツあんなAちゃんのこと好きなん？」

それに対して若干引いている彼。さあ、という意味を込めて首をかしげると、苦笑いが帰ってきた。普段ムードメーカーで幼い印象を受ける彼だが、こう二人で話すと意外と冷静な一面を見せるときがある。

彼らへの印象が移り変わってくるほどに、時間は過ぎ去っていた。