CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ14)

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「つー訳で。早速本題に入らせてもらうけど」

その声に、視線を再度正面の茶髪の彼へと戻す。
本題。拉致された理由か、はたまた別の何かか。いや、それは無いだろう。彼らの目的と、この状況に至った理由。それが彼の言う本題だ。

「一応確認ね。名前はA、国立の研究施設に雇われてる一介の研究員──いや、一介のじゃないな。特殊な体質で貴重な職員、だな」

ニヤリ。目の前の彼が瞳を細めて、口元に弧を描いた。やはりそれか、と少し腑に落ちる。貴重な職員、か。
貴重かどうかは置いておくとして、彼の口から他にも事実が告げられる度にその情報をどこで仕入れてきたのだろうかと疑問に思う。あまり彼らのような裏社会に生きる、そういった人々と関わることが少なかった為、情報源が何処に存在するのか甚だ疑問だ。

「さて。まあアンタの話は後でしよう。今はアンタが一番疑問に思っているであろう、ここに連れてきた理由を話す」

彼は「坂田」、と恐らくこの四人のうちの誰かを呼んだ。彼の右斜め後ろ、後方から返事をするような声。「一個何でもいいから持ってきて」と茶髪の彼が言うと、ビルの屋上で私を抱えた例の赤髪の男性が棒付きの飴を口に咥えたまま、後ろから歩いてきた。...私の聞き間違いでなければ、彼の名前は『坂田』というらしい。

「ん」、とその彼は右手に持った"それ"を茶髪の男性に差し出した。翡翠を私から逸らさないままそれを受け取り、口を開いた。

彼が受け取ったのは、遥か上空からばら撒かれたあの甘味だった。

「"これ"。今日もヘリから撒いたから見ただろ？...ニュースとかで見てない？俺ら『USSS』が街中にバラ撒いた菓子を食った人間が "中毒症状で救急搬送された"、みたいな話」

今朝の記憶が先程と同様にフラッシュバックする。そして彼らの菓子に関する知識も同様に想起、回想。例の、中毒症状。
一度それを摂取すれば次の菓子を欲しがり、彼らに心酔しているような素振りを見せる中毒患者。その症状のみが今までは現れていたが、最近になって人命に関わる事態になっているそれ。

「元々この菓子自体に中毒性はあるんだよね、必要だから。でも、最近の人間が死んでる事態に関しては俺らの望むところじゃないんだよね」

私を見据えたその瞳は不快感を露わにするように細め、眉をひそめた。