CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ15)

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彼らの望むところではない？その言葉に疑問を抱き、思わず「え？」と聞き返してしまった。

「意味わかんないよね、俺らがバラ撒いてんのに"人が死ぬのは俺らの望むところじゃない"とか。...それが、俺らの菓子に " 粗悪品 " が混ざってたんだよ」

「粗悪品、ですか」

「そう。見た目や味は同じらしいんだけど、中毒症状を引き起こす物質が別物で。それのせいで俺らにとっても想定外の事態が起きてる」

人間が亡くなるという、事態。
どうやらそれは、彼らが引き起こしている訳ではないらしい。
...今の話を素直に信じるのであれば、だが。彼が私の発言の真意を、感情を見抜こうとしたように彼の瞳をじっと見つめる。

多分、だけれど。自信は無いが、その瞳が表す感情は真剣そのものだった。

「そこで。その中毒症状を引き起こす、俺らが作った菓子じゃない粗悪品を回収してきて一応調べたんだが」

調べたんだが、とそこで少し口篭る彼。
視線を気まずそうに逸らし、口元に手を当てて唇をへの字に曲げた。その不機嫌そうな顔で黙ること、数秒間。
私の後ろにいた金髪の彼が少し困ったように、また次の言葉を促すように「...うらたん」と呟いた。

「決して俺の頭が足りてないとか実力不足とかいう訳じゃねえから」
「はいはい、そんなんわかってますよ」
「素直に言うたらええやん、『わかりませんでした〜』って」

坂田さん？、が茶髪の彼が座るソファにもたれ掛かりながら言った言葉に、その茶髪の彼の眉間のシワがより深くなり、「お前...」と軽く坂田さんにチョップをした。

チョップされた彼は「うらさんひどーい！」と笑いながら、再度右斜め後ろへ歩いて行ってしまった。
その様子を視線だけで追って小さく息を吐き、ソファに深く座って足を組み直した茶髪の彼は「で」、と少しだけ大きな声を出して話を再開させた。

「...アイツが言った通り、俺には今起こってる問題を解決する手立て、急性中毒を引き起こす物質の特定も、何故それが俺らの菓子に紛れてたのかっつー理由もわかんなかった」

「悔しいけど完敗ってワケ」と彼は投げやりな言い方をし、舌打ちを一つ。

つまりは。
彼らは巷で問題になっている事件に責任を感じ、自らの手で解決しようとしていた訳だ。

「そこで。研究、製薬のエキスパートを連れて来ようって話になったんだよ」

彼は私を射抜くように見据え、「俺たちの白羽の矢が立ったのがアンタだったって訳だ」と呟いた。