CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ16)

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10.誤解です。ページ16

翌朝、今まで聞いたことないくらいの大声で起こされることになる。

「Aッ…A！？ワーッ、えっ！？ちょっ、は？え…坂田？は？」
「朝から何騒いでんの、Aはずっと実験室…あ」

誰かが騒いでいる気がする、と夢心地の感覚から現実に呼ばれて、ゆっくりと意識が覚醒していく感覚。…あれ、いつものベッドではない気がする。

なんだか温かいし、包まれているような感覚。耳元でどく、どくと一定のリズムで何か鼓動のような──落ち着く音が聞こえる。…鼓動？と、ハッとした次の瞬間。

「さっ…坂田────ッ！！お前ッ、お前、信じられへっ、お前！」
「声デカ…Aも起きちゃうじゃん」

既に手遅れだ。
頭上でセンラくんが大きな声を出したことも、視界が真っ暗だから確証は持てないけれど、多分私が坂田くんに抱きしめられながら寝ていたこともわかっている。

うらたさんに諭された彼はハッとして、口を押えたような声が聞こえたけれど。私はもう起きているし、坂田くんは多分、センラくんの大声で起きそうな雰囲気ではないし。

「坂田お前…いや、お前力強っ、えっ？」

多分私を抱きしめている手を剥がそうとしているのだろうけれど、力が強すぎるらしくて剥がせそうにないらしい。…ということは、坂田くんの力は戻っている？

ぐるり、と視界が回って。明るい光が入って来たかと思えば、坂田くんの顔が至近距離にあって──あ。

「…センラうっさい、俺まだAと寝る」
「お前やっぱ起きとるやんけ…あ、おい、寝んな」

先程より強く抱きしめられている気がする、う、若干、苦しいような。思わず蛙が潰されたような、色気もへったくれもない声が漏れ出る。

「坂田、A圧死しそうになってんぞ」
「んー？そんなことないやんなぁ……あれ、顔真っ赤っか」
「…顔、顔近い、近いから」

小さくつぶやくと、にやり、と笑った目の前の彼。しまった、と思った頃にはもう遅く、ぎゅっと抱きしめられてはしきりに何度も「かわいい！」と言われて。

今度こそ混乱で頭がぐちゃぐちゃになってしまいそうだ！

坂田くんの腕と腕の隙間から見える、頭上にあるセンラくんの顔が恐ろしいから、そろそろ離して欲しいのに。

「…ん、はは、夢ちゃうかった！」

ぎゅう、と私のことを抱きしめながら心底嬉しそうに言った彼は──やっぱり、あの記憶が残っているらしい。