97話 ページ48
.
母「あら、遅かったわね」
A「……ただいま」
家に帰るといつもと変わらない母が顔を出してきた
Aはというと…不機嫌顔だ。
母「ごめん、まだご飯出来てないのよね」
A「平気、まだ食べたくないから」
母「……そう、何かあったの？顔が怖いんだけど」
A「別に？なんもない」
母「つまらないわねぇ、成宮くんと会話したら教えて」
A「教えない」
いつもと変わらないやり取りを交わして
鞄を手にして2階にある自分の部屋へと足を動かす
その足はいつもより重たく感じて、ちょっとだけ痛む。
A(お母さん狙ってる？)
A(できればその名前、今は聞きたくなかったのに…)
自分の部屋に入ると力が抜けたかのように足がカクンとなってその場に座り込んでしまった
あの後人の通りの少ないところで髪を引っ張られたり、頬を叩かれたり、それはそれは無理やり色々させられた。
ほとんどは力による暴力だが。
A(こんなことしておいて好き？バカにするのもいい加減にして欲しい)
A(返信するのは1分以内、電話はすぐ出る、しんどすぎる…)
よくもまぁ、あんなことをしておいて好きだとか無責任なことを言えるとAは深く深くため息をつく
これだから好きだとかそういう言葉は嫌だ
恋愛だとか、そういうのは本当に嫌でだからAは自分のその気持ちをひたすらに隠す。
A(明日は週末？)
A(学校、行きたくないなぁ)
別のクラスになったのが運が良かった
もしも同じクラスだったらと思うとゾッとする
それこそ救いのない状況で、きっと不登校になりかけてた。
A(せっかく髪の毛結び直してたのにぐちゃぐちゃだし)
A(あの人はなんにも分かってないのよ)
かわいいと褒めてくれた今日この日からお気に入りになった髪型
それは偽りの愛を語る怖すぎる人間にぐっちゃぐちゃにされ、ボサボサになっていた。
こんな関係すぐにでもやめてやりたい、でもやめてしまったら他の人に迷惑が行く。
何より、そんな勇気を持ち合わせてはいない。
A「好きならそういうこと、しないのに…」
無理やりにでも触れられた唇の感触が吐き気を催す
胡散臭い貼り付けたような笑顔も、手も、好きだとかかわいいとか言う言葉も全部嫌いで
A「私が好きなのは…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあき | 作成日時：2020年4月21日 19時
