95話 ページ46
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死ぬほどつまらない
学校を出てからずーっとそう思っている。
つまらなすぎて顔に出てしまうんじゃないかって思うくらいだ
そして、ため息が出てしまうんじゃないかと。
どれくらいつまらないって、数学の時間くらい。
A(成宮くん、私に何言おうとしてたんだろう)
考えることはずっと、彼のことで放課後こうして連れていかれる前に彼は声をかけてきた
憂鬱だった気分がそれだけで少し晴れた気がしてめんどくさい彼氏みたいな人がいるのに嬉しくて仕方なかった
本宮さん、じゃなくてAちゃんって呼ばれて尚更。
A(きっとなんでもないのに呼ばないよね)
A(なんか…私の勘違いかもしれないけど、聞こうとしてた?)
好きでもない人といるより、好きな人といるのが楽しいに決まってる
あ、好きという意味はそういう好きじゃない
きっと友達としての好きなんだ。
A(そう言い聞かせてるだけだけど)
手を握られても微塵もドキドキしなければ、頬が紅くなるわけでもない
肩がぶつかるほど至近距離にいてもドキドキしないしなんにも感じない
胡散臭い笑顔を向けられてもただただ引きつった笑顔をお返しに返すだけで
どんな笑顔も彼の笑顔には勝てない。
「どうしたんだよ、そんなぼーっとして」
A「岸見くん…ううん、ぼーっとしてない」
「……俺より成宮がいいって言うのかよ」
A「え?」
そう、なんも思わないの。
ドキドキしたりしない、頬は紅くならない
私をそうさせたのはこの人じゃなくて笑顔が素敵でそして何かに一生懸命な素敵な人で
「俺はこんなにお前のこと好きなのにどうしてお前はそうなんだよ、プレゼントも買ったし毎日手紙を送ったし手だって握った」
「俺にとってAは大切なのにお前はそれをなかったことにするのか?こんなにも一途にお前を想ってるだろう?」
そう、しつこかったというか怖かったから
手紙をもらった時は素直に嬉しかったのにだんだんそれは脅迫めいたことになってて
脅しにもなってて何故か私の家の前の写真とか、そういうのもあって怖くなった
靴箱に画鋲というベタすぎる脅し。
「なぁ、そろそろしたっていいだろ?」
ドキドキするのは好きの気持ちから来るものじゃない
恐怖だ
私はどうもこの人を好きになれない
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年4月21日 19時