53話 ページ4
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A「もうとりあえず私に好きな人はいないから朝からそんなにハイテンションで絡んでこないでよ」
母「んもー、冷たいわねぇ」
藍里「ほんと冷たいですよね、私も泣きそうですよ」
A「藍里?」
藍里「ういっす…」
歯磨きを済ませ
カバンを持って、髪型の最終確認をして
ローファーを履く。
いつも通りといえばいつも通り。
A「行ってきます」
藍里「行ってきまーす」
母「いってらっしゃーい!娘にいい出会いがありますようにって祈っておくわね〜!」
A「いらない!」
家を出れば風が吹き
Aの1本に結い上げられた髪を揺らす。
今日は編み込みポニーテールとちょっとAにしては凝った髪型だ。
藍里「いやー、おばさん成宮のこと知ってたんだね」
A「まぁ…そりゃ有名人だし、成宮さん」
藍里「まーだ成宮さん呼びか、そろそろあいつ泣くと思うあたし」
A「? なんで泣くの」
藍里「いや…距離感じちゃうでしょ、やっぱり」
2人で歩く通学路。
話の内容はAとお隣の席の人。
今日もきっと野球部の朝練をしていることだろう。
藍里「あたしはアイツのこと応援してはいないけどさぁ…あのクソ男よりマシでしょ?」
藍里「Aには優しいし、顔もそこそこいいしなあたしはそうは思わんけど」
Aの母親が真っ先に名前を出すのにも納得が行く。
知名度もあるが、まず顔がいい。
取材を前にしたとしの態度もいいし好感度がそれなりにあるだろう。
A「成宮さんは私みたいな地味な人は好きじゃないと思うなぁ」
藍里「地味?何言ってんの、あんた結構うるさいし明るいし人見知りさえしなければ欠点ないじゃん」
A「そうかな…」
藍里「Aは成宮のことどう思ってんのさ」
話しながら歩いていたらもう昇降口で。
おはよーとかそんな言葉を交わす生徒たちで溢れている。
A「うーん…いい人、かな」
藍里「どんな風に、詳しく」
A「い、いや詳しくは言えないけど悪い人じゃないし一緒にいて楽しいなって昨日は思った…それだけ」
藍里「ふーん、一緒にいて楽しいか」
もうそれ、ずっと一緒にいたいって言ってるようなものじゃない?と藍里は思っているけれど
言ったらややこしくなりそうだ。
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年4月21日 19時