73話 ページ24
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藍里「Aはあんまり男子に近寄られるのが好きじゃないんだよ、まぁ好きって言うやつもなかなかいないけど」
藍里が呆れ半分で教えると
明らかにテンションが下がる鳴。
藍里「トラウマっていうか、彼氏が彼氏なだけあってあんま好まない」
鳴「そいつぶん殴っていい?」
藍里「やめろっつの」
鳴としては好きな子に近づきたい!って気持ちが強いのだが
Aがそうなのであれば我慢するしかない。
鳴「聞こうと思って聞けなかったけど、本宮さんの彼氏なんなの?」
藍里「自分の思うように行かなかったりすると…ちょっとやべーやつ」
鳴「ふーん」
ビンタされるのも普通らしいし
マネージャーの勧誘を断ったら罵倒されたり
とにかく自分勝手で、自分の思うようにならなければすぐ手が出る。
でもAはずっとそれに耐えている。
鳴「俺だったらそんなことしないのに」
藍里「お前もよく我儘って聞くけど?」
鳴「否定はしないけど、本宮さんが駄目って言うなら俺は折れるよそんなに馬鹿じゃねぇし」
藍里「……随分成宮にしては紳士的じゃん、あたしお前はただふんぞり返った王様かと思ってた」
なんでも思い通りにしていいわけではないということはわかっている。
やっていいことと悪いことの判断くらい、いくら我儘な鳴でもできるし…。
鳴「本当に好きなら無理やり従わせたりしないじゃん、そいつ絶対本宮さんのこと心の底から好きじゃない」
鳴「なんてね!そんなの知ったこっちゃないけどさ、もしそういうことがあったら今度から俺が許さないし!!」
藍里がずっと思っていたことを
鳴が口にした。
嫌な奴、威張ってる奴だと思っていたけれど
案外Aが言ってた通り、勘違いをしていたのかもしれない。
藍里「お前とは…なんか気が合うな」
鳴「まぁ本宮さんが絡めばね、お前も悪くないやつだってわかったよ!ただのメスゴリラだと思ってたけど」
藍里「お前シメるぞ」
鳴「うわぁ…その言葉雅さんって感じ」
もしももっと早く、こいつとAが出会っていたらAは夜な夜な泣いて電話してくることも
なかったんじゃないかと、あたしは思う。
その言葉をまたグッと藍里は飲み込む。
藍里「もうくっつけ、めんどくさい」
鳴「距離感保てとか言ったくせに」
藍里「Aのつらそうに笑う顔なんて、見たくない」
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年4月21日 19時