72話 ページ23
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「本宮さーーーん!!!」
火照った頬をどうにかしようと
必死に手で扇いでいたけど効果なし。
叫ばれた途端心臓が飛び跳ねた…気がした。
藍里「噂をすれば来たよ」
A「してない!」
藍里「アイツなんかセンサーでもついてんの?すぐ来るじゃんやっぱストーカー予備ぐっ…!!」
A「藍里?」
藍里「ごめん」
藍里の鳩尾にチョップを食らわせては
ニコニコ笑うAがとても怖い。
怒らせちゃいけないとわかっているのだけれどついつい言ってしまうのだ。
鳴「本宮さん本宮さん本宮さんっ!!」
A「聞こえてる、聞こえてるよ成宮さん」
鳴「今の…見てた?見てたよね!もちろんさ!」
目をキラキラ輝かせて
顔を近づけてくる鳴にどう返したらいいか頭ではわかってるのに返せないAは
無言でふいっと顔を逸らしてしまった、ついうっかり。
鳴(目、逸らされた!?俺嫌われてるの!?あ…うるさくしたから!!)
A(むむむ、無理無理、無理だよ)
嫌われたのかとショックを受けたり
話すのが緊張して無理だと思ったり…
口に出さないから結構すれ違う。
藍里「言わないと伝わんないよ、成宮アホだから」
鳴「アホじゃねーし!!」
藍里「じゃあ因数分解」
鳴「……なにそれ知らない」
Aはちょっぴり、藍里がやっぱり羨ましい。
こんなにぽんぽん会話を交わせることがこんなに羨ましく感じたことはあるだろうか。
きっとない。
藍里「なんでお前髪型のこと言わないんだよ!!ほんと1に自分2に自分3に自分だな!」
鳴「げっ…そういやそうだった…!!」
藍里「アホか!それ直さないことには振り向いて貰えないからな!!Aは鈍感というか気づきにくいから!」
鳴「でも本宮さんなんか怒ってない?」
怒ってるわけではない
ただただ、2人が羨ましいだけで
自分もこうなれたらいいのにな、と少し落ち込んでるだけ。
藍里「あのなぁ、そりゃ初めっからあんなに距離詰められたら誰だってドン引きでしょうが」
鳴「距離!?距離の問題!?」
藍里「Aは男子じゃあるまい、根っからの女子なんだからもっと慎重に…」
鳴「もー意味わかんねぇ、駄目なの?」
藍里「駄目だろ」
この2人をくっつけるには
全然まだまだ苦労する必要があるみたいだ。
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年4月21日 19時