66話 ページ17
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A「なんか…もう、やだ」
藍里「やっぱ成宮のこと好きなんじゃ…」
A「違う…」
もういっその事、土に埋まりたかった。
恥ずかしすぎてむしろもう野球部のグラウンドに墓を立ててくれたっていいとアホみたいなことを考えるくらいには
恥ずかしすぎて死滅したい気分。
A「無理、無理無理無理…」
恥ずかしさで死にたくなって
顔をおおってしゃがんだ時
藍里「おぉっ…」
A「何藍里もう何も言わ……」
藍里の変な声が聞こえて少しだけ顔をあげれば
綺麗な青い目と風邪で少し揺れる髪が視界に入った。
見た瞬間、プリンスって名前がやっぱり良く似合うなぁ…なんてこと思うのはほんのわずかな時間で。
鳴「やっと見た」
A「えっ…えぇ…？」
ちらっと顔を上げただけなのに
嬉しそうにニカッと笑う鳴になんだか恥ずかしさを覚えたAはすぐ顔を伏せた。
余裕そうにニコニコ笑ってた鳴もAが顔を伏せたのを確認すれば
耳まで真っ赤にして顔を逸らすし…
どっちもどっち。
藍里「………お前らほんと何？」
2人にしては甘い雰囲気に藍里はちょっと呆れた。
なんなんだこいつらと。
鳴「本宮さん、今俺に手を振ったの？」
A「ごめんなさい…すみませんほんと調子乗りました…」
鳴「なんでそんなジメジメしたこと言うの」
A「だって…成宮さん固まるから…」
距離が近い。
ものすごーーーく、近い。
どれくらい近いかってお互いの顔しか視界に入らないくらい近い。
鳴「別に嫌だって思わなかったけど？」
A「ほんと…？」
鳴「嫌だったら俺本宮さんのとこ来てない、はっきり言えば無視してたね、無視！」
A「そう、ですか…」
一瞬また顔を上げたけれど
恥ずかしくって恥ずかしくて、ぎゅーっと目を瞑ったまま顔を伏せる。
おかしい。
顔が見れない、声も聞けない。
近くで話されてると落ち着かない。
鳴「嫌どころか……嬉しかった」
鳴「本宮さん、俺の事見てたんでしょ？」
どっから来るんだその自信…。
と言いたいところだけれど目があったのだからそうなる。
A「………見てた、見てました」
鳴「ねぇ本宮さん、顔上げてくれない？」
案外Aが本当の恋に落ちるまで
あと少しなのかも…しれない。
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作者名：ちあき | 作成日時：2020年4月21日 19時
